「ある男性が、心肺停止状態で倒れていた女性を発見し、救急車が来るまでの応急手当てのためにAEDを使用して救助したものの、後日、その女性の親から強制わいせつで被害届を出された」
こんな出来事が大きな論議を生んでいる。
結局、救助された女性本人が親に説明し、被害届は取り下げられたということだが、そもそもこれ自体が捏造なのではないか、という疑惑も出ている。
この話の真偽はともかく、「たとえ人の生死にかかわる場面でも、性被害にならないか、女性側の身になって考えなければいけない」というのが世の風潮なのだろう。
いわれのない罪で訴えられることに気を付けなくてはいけないのは、今に始まったことではない。先日の「行列のできる相談所」(日本テレビ系)では、8年前に取り上げた「痴漢冤罪に巻き込まれそうになった際の対処法は?」というテーマについて、改めてジャッジしていた。
その結果、8年前も現在も「もし、本当にやっていないのであれば、身の潔白を証明しようなどとはせず、すみやかにその場から逃げる」のが最も有効とのことだった。
無実なのに逃げなければいけないなんて、なんとも理不尽な話だが、今の世の中、さらに気を付けなければいけないのは、たとえ逃げたとしてもコトの一部始終を第三者にスマホで動画撮影され、拡散されるおそれがあるということ。無実の罪から逃げ切れたり、冤罪であることが証明されたとしても、ひとたびSNSで晒されたら最後、デジタルタトゥーとしていつまでも残されてしまうのだから恐ろしい。
そんなふうに、痴漢冤罪の対処法はいっこうにアップデートされないのに、痴漢と疑われる場面はますます増えるばかりのようで、1月28日放送の「上田と女がDEEPに吠える夜」(日本テレビ系)では「非接触型」の痴漢とでもいうような事例が挙げられた。
なんでも、元TBSアナの吉田明世がコンビニでアルバイトをしていた当時のこととして、
「けっこう男性とか、わざと女性の店員である私のところにエロ本を持ってきて、どういう表情をするかを見てくる人とかは(いた)」
これにファーストサマーウイカも応じる。
「私もドラッグストアでバイトしてたんで『すみません、生理用品でどれがいいんですか』って聞かれたんで『誰が使うんですか、あなたですか。いちばん多い方がいいですね、じゃあ、いちばん高いのいいと思いますよ。さあ行きましょ!』みたいな対応をしちゃったからアレだけど、(女店員の)『アワワみたいな』のが見たいから、そういうのをやられた」
当事者ではないのでなんとも言えない部分はあるにしても、「いつもいる店員さんに『いやらしい本を買っている』と知られたくないから、普段はいないこの女性店員のレジで買おう」と思って持ってきたのかもしれないし、生理用品ではなく避妊具だったらそりゃあアレだろうが、ただ単に「妻の生理痛がひどくて『生理用品を買ってきて』と頼まれたけど、どれがいいんだ」と悩んだ上で質問しただけかもしれないではないか。
男女平等などと言いながら、男ばかりがどんどん肩身が狭くなる。極論だが、トランプが言うように「性別は男と女だけ」として、いっそのこと学校も職場も生活空間も商業施設も公共交通機関も、全て二分したらいい。そもそも女性専用車両があって、男性専用車両がないのは差別ではないのか。
いやらしい本は女性の店員さんがいるレジでは買わない、生理用品のお買い物を奥さんに頼まれた場合、その旨、動画に撮影しておくようにする。なんとも面倒な世の中だ。
(堀江南/テレビソムリエ)