プロ野球の日本ハムが本拠地をエスコンフィールド北海道に移転したことで、経営難が伝えられている…といえば、札幌ドームだ。2024年1月には3度目のネーミングライツ(命名権)を売り出したものの、なかなか手を挙げる企業がなかった。その後、7月に分譲マンション事業などを行う大和ハウス工業が命名権を買うことが決まり「大和ハウスプレミストドーム」の名称に変わっている。
4年間2億5000万円の契約がまとまったことで、ドーム関係者は安堵したことだろうが、現在も年間20億円以上が税金から拠出されており、札幌市民は「負の遺産」「ちゃんと使っていかないともったいない」と不満を募らせている。
ただ、少しずつだが、明るい兆しは見えている。2月7日から9日に「JALさっぽろスノースポーツパーク2025」が開催されたが、2月21日には米津玄師のコンサートが予定されている。3月に入っても、9日にコンサドーレ札幌の試合、22日と23日には「SixTONES LIVE TOUR 2025」が行われることもあり、すでに周辺の宿泊施設は予約でいっぱい。札幌ドームとしては、今後も大型イベントを可能な限り誘致していきたいところだろう。
こうした状況を見た一部市民からは、過去の好評イベントの再誘致を呼びかける声が上がっている。2023年8月1日から4日にかけて開催された、国内最大の下水技術の展示会「下水道展」だ。
これは下水道の最新技術や問題を展示し、体験型アトラクションもある。1日あたり1万人超が訪れる、業界最大規模の産業博覧会なのだ。期間中に商談も行われることから、関連企業が全国から社員を派遣してくるため、会場のみならず、市内の飲食店も大賑わいする。「下水道」の文字を見ると、なんとなく寂れたイベントを想像しがちだが、実際は300を超える協賛団体が一同に集まるビッグイベントなのだ。
奇しくも現在、埼玉県八潮市の道路陥没事故が連日、ニュース報道されており、国民の関心が下水道に向いている。今年の「下水道展」は7月29日から8月1日の4日間、「インテックス大阪」で開催されるが、例年以上の来場者が訪れることだろう。
人気アーティストのライブやスポーツの試合ばかりに目が奪われがちだが、実は「下水道展」のような産業博覧会は、多くの集客を見込める。札幌ドームとしては、願わくばもう一度「下水道展」といきたいところだが、赤字解消の策として、同種の産業博覧会の誘致に力を入れてみてはどうだろうか。
(ケン高田)