沖縄は外国人労働者にとって、働きやすい環境だとされる。沖縄労働局の発表を見れば、その実態は明らかだ。2024年10月末時点で沖縄県内の外国人労働者数が過去最多を記録した。総数は1万7239人に達し、前年と比べて19.7%増加した。外国人労働者を雇用する事業所の数は3284カ所となり、前年比8.4%増。国籍別に見ると、ネパール出身の労働者が最も多く、次いでインドネシア、ベトナムと続いている。
と同時に、課題も浮かび上がっている。多くの外国人労働者が沖縄に長く留まらず、短期間で県外へ移ってしまうケースがあとを絶たないのだ。県内で外国人技能実習生を受け入れている企業に話を聞くと、
「定着しない背景には、賃金の低さやキャリアアップの難しさがあります。沖縄県の最低賃金は全国的に見ても低水準で、都市部と比べると収入面での魅力に欠ける。より高い賃金や良好な労働環境を求めて、本州の大都市圏へと移る外国人労働者が増加しています」
言葉の壁や文化の違いによる孤立も、定着を妨げる大きな要因となっている。受け入れ態勢が十分に整っていない職場では、コミュニケーションの難しさから労働者が適応できず、短期間で離職してしまうケースが少なくない。
その結果、一部の外国人労働者が都市部へ移動するだけでなく、就労環境の悪化による生活苦から、不法就労や犯罪に手を染めるケースが報告されている。特に近年では、東京などで元外国人技能実習生が犯罪に関与する事例が増加しており、社会問題になりつつある。
外国人労働者の増加は沖縄県の経済にとって大きな力となる一方で、長期的な雇用の安定や定住の促進に向けた対策が求められている。待遇の改善や労働環境の向上、行政と企業の連携強化、多文化共生の推進など、包括的な支援策が今後の大きな課題となるだろう。