新型コロナウイルス対策の給付金を騙し取ったとして、警視庁公安部が詐欺の疑いで複数の中国料理店を展開する「東湖」社長の徐輝華容疑者らを逮捕したことが、永田町で問題になっている。というのも、徐容疑者は外交官として在日中国大使館に勤務し、六本木にある「御膳坊」は「中国大使館御用達の店」として知られるからだ。
「御膳坊」の公式サイトには〈歴代首相を始めとする日本政財界、中国大使館などによくご利用されています〉と謳われている。かつてテレビ番組で鳩山由紀夫元首相が行きつけの店と紹介されていたので、歴代首相には鳩山氏も含まれるとみられる。
自民党の山田宏参院議員は自身のXに、こう綴った。
〈おそらく多くの日本の政治家や官僚や経済人が接待を受けてきた店だ〉
その上で、自身も2011年前後にこの店で大使館関係者と食事をしたと明らかにした。
〈当時中国大使館の公使で韓志強という、若い頃中国社会科学院から交換生として松下政経塾に来ていた方の招待だったかと記憶している。ところがその席は尖閣諸島の話で私と大使館との大激論となり食事会は大荒れ。喧嘩別れのように解散して、私はあれ以来寄りつかない〉
韓志強氏は現在、駐タイ中国大使となっている。
山田氏は警視庁公安部の狙いについて、
〈各部屋に隠しカメラやマイクがあるはずで、中国大使館の下部機関のような店。今回のガサ入れで店に保管されている映像や音声等の記録も押収されるだろう〉
と推測している。
外交特権に守られている大使館に対する捜査は難しく、これまでも逃げられたことがある。山田氏が言うように、中国による工作活動の一端が明らかになるよう、徹底捜査を期待したい。
(奈良原徹/政治ジャーナリスト)