宮内庁が不祥事の渦中にあるフジテレビの、日枝久取締役相談役の動向を注視している。日枝氏はフジサンケイグループ代表でもあり、同グループが関係している世界環境大賞、世界文化賞は皇室関連のイベントだからだ。
イベントでは皇室の「接待役」が日枝氏だ。今回のフジテレビと中居正広の騒動で、フジメディアホールディングスの株主である外資系ファンドが日枝氏の辞任を要求するなど、日枝氏の去就がいつの間にか焦点になってきた。そんな渦中の人物が皇室の接待役として適任なのか、悩ましいのだ。
世界環境大賞は産経新聞が主管だが、表彰式では日枝氏の先導で秋篠宮ご夫妻が会場に入り、接待役を担う。フジサンケイグループの日本美術協会が主催する世界文化賞は「高松宮殿下記念世界文化賞」が正式名称。皇室と同グループの結びつきを強くするため、かつて同グループを支配していた鹿内家が制定したものだが、今や日枝氏が最も力を入れている。
「世界中を回り、日枝氏が受賞者を表彰していた」(フジサンケイグループ関係者)
宮内庁はこうした状況になっても、コメントすることはない。
「皇室に迷惑をかけることがないように、自ら辞退するのが皇室関連の慣習。世間を騒がせたということをもって、皇室の前には出ないものだ」(イベントに詳しい広告代理店関係者)
常識的には同グループの皇室関係の看板イベントで、日枝氏は末席に座るか、出席しない。同グループでの威光は、皇室の前ではもはや通用しないのだ。
(健田ミナミ)