またしても海外を拠点に、特殊詐欺を行っていた日本人グループが摘発された。
電子計算機使用詐欺の容疑で2月6日に逮捕されたのは畠中一容疑者を含む5人で、タイのリゾート地パタヤから日本に電話をかける「かけ子」。拠点としていた施設からは、大量の名簿や還付金詐欺マニュアルが押収された。
パタヤはバンコクから東南へ約165キロメートルの、タイランド湾に面したリゾート地だ。今年1月には、日本人特殊詐欺グループの拠点が摘発された事件で、逃走していた日本人1人が新たに拘束されたことが、現地当局によって発表されている。こうした詐欺グループがパタヤを拠点とする理由を、現地在住の日本人男性は次のように語る。
「パタヤはバンコクと違い、日本人コミュニティーが希薄なのが特徴です。税金対策で移住してきた人が多く、日本人同士のつながりをあまり持ちたがらない人が少なくありません。バンコクに比べて行政の手続きが緩やかで、観光ビザなども比較的簡単に取得できるため、不法滞在のリスクが低いのも影響していると思います」
物価の安さも、詐欺グループが集まりやすい理由のひとつだという。この男性が続ける。
「バンコクと比べて家賃が安く、アパートや一軒家はデポジットを支払えばすぐに入居できます。広い家を拠点にする特殊詐欺グループにとって、物件を借りやすい環境が整っていると思います。ここ数年で日本食の居酒屋が増え、日本人が長期滞在しやすい土地になっていることも関係しているでしょうね」
近年、日本国内の詐欺グループが海外へ拠点を移し、より摘発されにくい環境で活動を続けるケースが増えている。今回の摘発を受けて、タイ当局はさらなる取り締まりを強化する方針を示しており、日本の警察との連携が今後の焦点となりそうだ。