ユニークな女性タレントとして、テレビ番組などで活躍している「デヴィ夫人」ことデヴィ・スカルノ氏が2月12日、東京都内で記者会見に臨み、新党を旗揚げして国政に挑戦することを電撃公表した。
愛犬家としても知られるデヴィ夫人が代表となって設立した新党は、犬や猫の愛護活動に特化したワンイシュー政党「12(ワンニャン)平和党」。今夏に行われる参院選では「犬猫の食用禁止の法制化」をはじめとする12の政策を掲げ、10人から30人の候補者を擁立する。デヴィ夫人自身も日本国籍の取得申請が認められ次第(現在はインドネシア国籍)、比例代表候補として出馬することが明らかにされた。
参院選に向けた布陣としては、犬肉食の禁止運動を世界的に展開してきた実業家の堀池宏氏が共同代表に就任したほか、選挙対策委員長には選挙プランナーの藤川晋之助氏が就任。藤川氏は昨年の都知事選で石丸伸二旋風を巻き起こし、選挙業界では「選挙の神様」として知られる人物だ。その藤川氏は会見で、
「最低でも2~3議席、取ります。取ってみせる」
と豪語したが、記者からはデヴィ夫人に対して「政治に関わることでテレビの仕事がなくなる可能性」についての質問が投げかけられた。当のデヴィ夫人が言うには、
「政治に関わるのはやめてほしいと思っているようなテレビの会社とは、『ご遠慮ください』と言われれば致し方ないと思っています」
こう前置きした上で、次のようにフォローアップしてみせたのである。
「逆にもっと人気が出て、『もっと活動してください』というところがあれば、喜んで出演します」
会見に出席した全国紙政治部記者が指摘する。
「デヴィ夫人の『もっと人気が出て』発言については『思わずホンネが飛び出したのでは』と感じた記者もいました。要するに『タレントとしての人気を上げることも、新党の旗揚げと参院選出馬の目的に含まれているのではないか』ということです。仮にデヴィ夫人が当選した場合、政治家とタレントという『二足の草鞋』でいいのか、という問題も生じるでしょう。国民から負託された国会議員としての職責を全うするためには、タレント活動を全面的に中止して国政に専念するのが筋ですからね」
デヴィ夫人と「12平和党」の今後が大いに注目されるゆえんである。
(石森巌)