ここでAさんは機転を利かせて、客引きに連絡すると言いながら、トイレで110番通報をする。
「いきなりドアを開けられて『なぜ警察にかけているんですか。営業妨害じゃないですか』ってマネージャーにどなられて‥‥。ドアのそばで聞いてたんですね」(Aさん)
やがて警察が来て交番へ一緒に行くことになった。
「助かった」と思ったのも束の間、事態はさらに絶望的になる。
「警察は『民事不介入で、金額に関してはウチラは入れないから』の一点張り。店と話し合って金額を決めてと言われました。妥協する金額に関しても『それはあなたの口から言ってください』と警官に言われたんです」(Aさん)
しかし、店員は伝票を片手に、
「料金表は店に掲示してあり、説明している」
と、あくまで“明朗会計”を主張し続ける。
「詐欺や脅迫などの刑事事件だと警官に訴えても『証拠がないと立件できない』と言われました」(Aさん)
警官からは、くだんの客引きが捕まれば詐欺にできると言われたが、何度かけても電話に出ない。店員の一人はこうニヤニヤ笑っていたという。
「どうせその人、2~3日は見つからないですよ」
最後まで客引きの男に電話はつながらず、10万円で決着がつき支払った。Aさんによると後日、客引きから電話が来たそうだ。
「いろいろ言い訳してたけど、実際に払った領収書を写メしてくれたら店に掛け合って全額取り戻すと言うんです。41万円が10万円になり、店からのバックが少なくて確認してきたんだと思います」(Aさん)
大阪から上京し、歌舞伎町で被害にあった別の男性Bさんはこう語る。
「行きたい店があったので客引きに場所を聞いたんですね。そしたらすぐその店に電話して『今、1時間待ちです』と親切に教えてくれて、信用してしまいました。彼がその店の系列で新しい店があるというので行くことに。歩きながら店の名前をスマホで検索してもサイトが出てこないことを伝えると、『まだお店できたばかりなんで』と言われ、妙に納得して‥‥」
お店に入ると、女の子はお酒を水みたいにガンガン飲み始めたという。
「女の子の飲み物代は別と聞いていたので、勝手に飲むなと注意したんですが、それでも飲む。途中から勝手に2杯ずつ頼みだすし、不安になって、もう出ると言って会計してもらうと3人で17万円。高すぎるやろと抗議したら、小っちゃいエグザイルみたいなんがいっぱい出てきて。気分も悪いし、早く帰りたいしで結局、払ってしまいました」(Bさん)
慣れていない地方の男性を「手なずける」手口。どうも諸悪の根源は客引きにあるようだ。