群馬県中小私鉄3社沿線地域交通リ・デザイン推進協議会が、「上信電鉄」を全線で存続させる基本方針を決めた。同協議会はすでに「上毛電鉄」と「わたらせ渓谷鐵道」も全線存続としているため、群馬を走る私鉄3社の路線は今後も維持されることになる。
上毛電鉄と上信電鉄は学生を中心に利用者があり、バス転換が難しいこと、わたらせ渓谷鐵道は観光列車が走り、経済効果があることが存続の理由だ。
今回の方針決定によって、ある程度の期間は路線が維持されることになり、地元住民と鉄道ファンにとっては喜ばしいニュースとなった。地方ローカル鉄道はどこも厳しい状況が続いているが、これをきっかけに存続が決まる路線が続いていくと期待したい。
しかしながら、喜んでばかりもいられない状況だ。千葉県を走る「いすみ鉄道」が、今も全線で運転を見合わせているからだ。
「いすみ鉄道は昨年10月4日に脱線事故があり、以降は運転を見合わせています。脱線の原因は木製の枕木で、これを全て強度の高いコンクリート製に変えないと、運転を再開できません。交換には時間とお金がかかるため難航しており、運転再開の見込みは立っていない。このまま廃線になってしまうのではないかと、心配されています」(鉄道ジャーナリスト)
上州の3路線は沿線の市町村の協力により、存続が決まった。いすみ鉄道の沿線自治体にも、強力なバックアップを期待したい。
(海野久泰)