テリー プロレスの人気回復を図ったり、ご自身をプロデュースしたりするのに、どういうことからアイデアを得ているんですか。
棚橋 本や映画、テレビなんですが、インプットする時間がなかなか取れないんです。試合が続いていくと、試合のことを考えたり、コメントも考えないといけないので、外へ発信し続けることの連続なんですね。そうすると、巡業中にだんだん自分が空っぽになっていくのがわかるので、日常生活の中から何かを見つけることを心がけています。
テリー それって大事だよね。僕も仕事柄、バラエティ番組で「おもしろい体験」を語ることを求められるけど、人ってそうそう、毎日特別な事件が起こるわけじゃないから。普通に生きていると、なかなかおもしろいことってない。だからこそ、ふだんの生活を楽しむことが大切ですよね。
棚橋 はい。御飯を食べに行った食堂のおばちゃんとの会話の中に、すごい教訓が含まれていた、とか。僕には物事をおもしろがれる力がたぶんあって。
テリー ああ、それはすごい才能だ。
棚橋 いつも「何かおもしろいことないかな」と思って生きているので。高杉晋作の言葉に「おもしろきこともなき世をおもしろく」というのがありますけど、いい言葉だなあと思います。日常で自分からおもしろいことを起こしていくのが好きですね。
テリー プロレスラーらしい、豪快エピソードは何かありますか?
棚橋 う~ん?
テリー 夜がスゴイ、とか。
棚橋 ま、そういう時期もありましたね。10年以上前に、女性に刺されてしまった事件があって。あの頃の写真を見ると、ものすごい悪い顔をしていますね。刺されたあと、自分で原付を運転して病院に行ったというのが、まぁ超人エピソードですかねぇ。
テリー 女性に刺されるって、何をしたんですか。
棚橋 当時、今の奥さんと一緒に住んでいたんですけど、ちょっとヤンチャが過ぎまして。
テリー いわゆる別の女の人とね。まあ、あるよね。僕も質問している場合じゃない(笑)。
棚橋 思わぬ形で有名になってしまって、もうプロレスはできないかと思ったんですけど‥‥。プロレスという特殊なジャンルがあったからこそ、復活できています。事件のあと、長州さんからお花をもらって、そこに「人生は長い、あきらめずに頑張れ」って、ひと言書いてありました。
テリー いいねぇ。
棚橋 それで何とか上を向くことができて。だからプロレスというジャンルに対して、他のレスラーと感謝の量が桁違いに違うんです。新日本プロレスがプロレスを続けることをよしとしてくれたからこそ今の自分があると思っているので、この身が尽きるまで、新日本プロレスに恩返ししようと思います。
テリー 棚橋選手のそういう性格も、ファンは感じ取って応援してるんでしょうね。
棚橋 いやあ、ああいう事件はないに越したことはないので、オカダとかは純粋にスターになっていってほしいと思いますね(笑)。
◆テリーからひと言
棚橋さんのプロデュース力はスゴい。だけど、あまりにも真面目すぎるかもしれないね(笑)。“スイーツ真壁”に対抗して“おでん棚橋”っていうのはどう? 今度は金髪美女に刺されるくらい、ワールドワイドに活躍してください!!