2027年のNHK大河ドラマは、松坂桃李を主演とする「逆賊の幕臣」になることが明らかになった。主人公は幕末期の江戸幕府を支えた幕臣・小栗忠順だ。
勘定奉行、江戸町奉行、軍艦奉行などを歴任し、洋式の軍隊の整備に尽力。戊辰戦争では榎本武揚らとともに徹底抗戦を主張するが受け入れられず、知行地である上野国の権田村に隠遁する。最期は敵方である東山道軍に捕らえられ、斬首された。
勝海舟のライバルとも言われた人物で、作家の司馬遼太郎は小栗を「明治国家の父のひとり」と形容したが、よほどの歴史好きでもなければ、小栗の名を知っていることはないだろう。
「大河ドラマの主人公としては、知名度不足ではないでしょうか。大河では一般に知られた歴史上の人物が主人公でないと、視聴率を取れないと言われていますからね」(テレビ誌記者)
過去5年間の大河は、2020年「麒麟がくる」の年間平均視聴率(世帯平均・関東地区、以下同)が14.4%だったのを最高に、2021年「青天を衝け」が14.1%、2022年「鎌倉殿の13人」は12.7%、2023年「どうする家康」が11.2%、昨年の「光る君へ」が10.7%と、視聴率の下落傾向に歯止めがかからない。
今年の「べらぼう~蔦重栄華乃夢噺~」もしかりで、ここまでの9話の平均視聴率は10.9%と苦戦している。
脚本は安達奈緒子氏で、「大切なことはすべて君が教えてくれた」「リッチマン、プアウーマン」「失恋ショコラティエ」といったフジテレビ月9ドラマの印象が強い一方で、歴史ドラマの経験は少ない。それが吉と出るか凶と出るか。
主演の松坂は「軍師官兵衛」(2014年)、「いだてん~東京オリムピック噺~」(2019年)と、二度の大河ドラマ出演歴がある。はたして低視聴率のスパイラルから脱することができるだろうか。
(石見剣)