橋本環奈がヒロインの2024年度下期のNHK連続テレビ小説「おむすび」。全25週で描かれる、ギャルが栄養士として成長する姿を描く同ドラマも22週目に入り、いよいよ最終回に向け盛り上がる…雰囲気が一向に感じられない。
3月3日からの第22週「理想と現実って何なん?」のメインとなるストーリーは、主人公の米田結(橋本)が、幼馴染みで大手コンビニの開発部で活躍する佐久間菜摘(田畑志真)と協力して、高齢者向け弁当を開発する話だが…。
視聴率は12%台で踏ん張っていたが、3月6日には11.8%に。この3週間で4度目の12%割れと、危機的状況は相変わらずだ。それもこれも、雑な脚本と矛盾だらけの展開が視聴者に見透かされてしまっているからだ。
コトの発端は、菜摘の母・美佐江(キムラ緑子)が元気がないということ。そこで菜摘と結は、高齢者にも食べやすい弁当を開発したらどうかと思いつく。ドラマウォッチャーが嘆息する。
「弁当を考案するも、上司にダメ出しされます。そこでさらに悩んで考えて、より良い商品開発に繋げるというセオリー通りの展開ではあるのですが、2人がやらかすミスがまるで新入社員のような、幼稚なもの。アキレてしまいます」
例えば「食材に通常のコンビニ弁当では使わないものが多く、安定供給が見込めない」「彩りはいいが、工場での製造行程を考えていない」「コストを考えていない」といった問題だ。
「若くしてコンビニスイーツを開発し、絶賛されていた菜摘がなぜ、こんな初歩的な問題を見落とすのか。結も星河電器の社食勤務だった時に、経験して学んだことのはず。なぜプロとして中堅の年齢の2人がこんなミスをする脚本なのか、不思議です」(前出・ドラマウォッチャー)
番組の制作統括は、試写会で同様の疑問点があったことを明かした上で、
「当たり前のことに気付かないことも、現実にはあります。特に若い時には」
2人の経験や知識が知悉(ちしつ)、すなわち「詳しく知ること」の段階まではいっておらず、そこから違った視点で新しい発想に行き着く姿を描きたかった、との旨を説明した。
「そうした段階を踏んで成長を描くのはその通りですが、それにしても先に挙げた問題点は若い頃に知悉しているべきもので、中堅の開発担当や管理栄養士にはもっと上の段階のつまずきがあるのでは」(前出・ドラマウォッチャー)
一事が万事この調子で、視聴者の腑に落ちない点を下手な言い訳と言われても仕方のない発言で煙に巻こうとする制作統括サイドに、視聴者だけでなく演者や脚本家も納得のいかないまま撮影を進めているように見えてしまうのだ。
こうした事態は、そもそも超多忙な橋本を無理やりヒロインに押し込めたことにあるのか、それとも制作陣の物語の作り方のレベルの問題なのか。
いずれにせよ、物語はあと3週。どのような着地を見せるのだろうか。
(石見剣)