半獣半人タイプのUMAで有名どころというと「アスワング」「蛾男(モスマン)」「ワニ男」などが挙げられるが、懸賞金までかけられたUMA「モンキーマン」をめぐる騒動は「2000年代最大」と称された。
なにしろ夜中に街中で人間を襲い、死者・負傷者が出て警官隊が出動したことで連日、現地メディアで報じられ、ついには懸賞金までかけられたのだ。
場所はインドの首都ニューデリー。2001年4月から5月にかけて出没した、現地では「バンダル・マーナブ」と呼ばれるものだ。
体長は1.5メートルから1.8メートルほどで、上半身は猿のような毛に覆われ、鋭い爪を持ち、二足歩行をする獣人。当時の新聞記事によれば、モンキーマンは夜間に現れ、屋外にいる路上生活者に襲い掛かり、爪で引っかいたり、噛み付くなどして大ケガを負わせた。ところが警察隊が到着すると、驚くべき跳躍力で家屋の屋根に飛び移り、屋根伝いに姿を消してしまう。
この獣人騒動で、少なくとも3人が死亡。ニューデリーの人々をパニック状態に陥れたのである。
目撃談は多数報告されるものの、地元警察が現場付近を検証したところ、不思議なことに、それらしい体毛や足跡などの物的証拠が何ひとつ見つからず。さらに被害者らも、モンキーマンそのものに危害を加えられたのか、あるいは逃げる途中、屋根から落ちたり転倒したのかどうかがわからない、といった曖昧な証言が多かった。
警察は未確認生物というセンで捜査を続ける一方、何者かに調教された猿、あるいは強盗や通り魔の犯行だった可能性も視野に入れていた。しかし決め手となる証拠が見つからない。警察としては、なんらかの理由で集団ヒステリーが起こり、逃げる最中に死傷者が出たのではないか、と結論づけた。だがこの話には続きがある。UMA研究家が解説する。
「2002年にもインド北部のダーラ村とサヘウァ村で村人が殺害される事件が起こり、その時に目撃されたムノチュワというUMAが、モンキーマンそっくりだった。モンキーマンがニューデリーから北部へ逃げて、悪さを繰り返しているのではないか、という説が流れました」
「インド軍が秘密裡に行っていた遺伝子操作で生まれた産物」との情報も出たようだが、その後の目撃談がパッタリ消えたことで、インドでは伝説のUMAとなった。
(ジョン・ドゥ)