テリー でも、それはやっぱりピン子ちゃんの人柄だよね。だって、ご主人とも仲いいよね?
ピン子 それは夫が私に興味ないからじゃない? 私の知り合いが(夫の病院に)患者さんで来た時に「今、ピン子さん何してますか?」って聞かれるみたいなんだけど、「さあ、知りません」って答えてるって(笑)。「それは変だからやめて」って言ってるんだけど。
テリー 興味ないっていうか、適度に距離を取るってことだよね。
ピン子 そうね。「近くの医者より遠くの薬局」だから。
テリー でも、家に医者がいるって安心じゃない?
ピン子 全然。検査の表を見せても、「いいんじゃない」で終わりだから。いつも病人の方を診てるから、家でも診るのが嫌いなんじゃないの、たぶん。
テリー でも、長く付き合うって、そういうことですよね。
ピン子 結婚して30年過ぎちゃったもんね。週刊誌に「すぐ離婚する」とかって書かれたけど。でも、やっぱり隠し子がわかった時は「どこの子?」って聞いた。
テリー ああ。
ピン子 西田(敏行)君や森さんにも相談したし。そしたら橋田先生と森さんが「絶対に別れるな」って。「生涯、『捨てられた』『裏切られた』って書かれるから、それよりも許したほうがいい」って。
テリー なるほど。
ピン子 それで私が考えたのは、「再婚したと思おう。子供がいる人と結婚したと思えばいい」って。だからそのことに関しては、自分ではなかったことにしてるし。
テリー えらいね。
ピン子 だからって、その家の子にお皿1枚やりたくないもんね。当たり前よ。勝手にやっといてさ。私のモノ、バーキンだとかエルメスとかやるなよ、ほんとに。マジックで「ダメよ」って書いておくからな(笑)。
テリー おもしろいなぁ(笑)。
ピン子 でも、そういうもんよ。そんな優しくなんかできない。
テリー それは意地ですよね。
ピン子 意地よ。
テリー 俺もね、死んだらどこかに寄付しちゃう、うちの土地とか。公園みたいに使ってくれればいいなと思って。
ピン子 でも、うちマンションだからね。私、昔から家とか興味ないのよ。一度売れたんだから、着飾って好きなもの買ってって、そっちなのね。貯金通帳を見る趣味はないの。
テリー 貯金はあるの?
ピン子 まあね。
テリー かなりある?
ピン子 ない。病気しても生きていくぐらいはある。でも、前のTBSの社長に「ピンちゃん、本当だったら10億持ってないとおかしいよ」って言われた。「そのぐらい稼がせたよ」っていうことなんでしょうけど。10億? そんなのみんなエルメスとか宝石に化けちゃったわよ。だってね、土地や家を買ったって、背負って歩けないじゃないの。「これ私の家です」ってさ。
テリー そうだね。じゃあ、やっぱり結論は、この本のタイトル通り「終活やーめた。」だね。
ピン子 そうね。終活は後から誰かがやってくれるから、やらなくていいですよ。
テリー やらなくていい?
ピン子 どうしても欲しいモノを残していくのがイヤだったら、バーキンでもケリーでも、裏にマジックで「誰々にあげて」って名前を書いておけばいいと思う。だってさ、誰かが死んだ後に持って行っちゃったらわかんないじゃない。それだったら、マジックであげたい人の名前を書いておけば売れないから。
テリー なるほど。でも、マジックだと消えちゃうから「焼き印」にしましょう。
ピン子 そうね。じゃあ、焼き印、作んなきゃね(笑)。
テリーからひと言
7、8年ぶりに話したと思うけど、いやぁ、楽しかったなぁ! ピン子ちゃんとはファッションの趣味も合うんだよね。今度一緒に買い物に行こうよ。
ゲスト:泉ピン子(いずみ・ぴんこ)1947年、東京都生まれ。日本音楽高等学校中退後の1966年、牧伸二に師事し、三門マリ子の芸名で歌謡漫談家デビュー。1975年、「テレビ三面記事 ウィークエンダー」(日本テレビ系)のリポーターに抜擢され、芸名を「泉ピン子」へ。同年、映画「神戸国際ギャング」に出演、女優業に進出。1980年、「手ごろな女」(日本テレビ系)でドラマ初主演。以降、多くのドラマに出演し、1983年の「おしん」(NHK)の母親役で高い評価を得る。同作の脚本を担当した橋田壽賀子にも高く評価され、以降は橋田作品に数多く出演。TBS系ドラマ「渡る世間は鬼ばかり」は約30年続く長寿シリーズとなった。著書「終活やーめた。元祖バッシングの女王の『ピンチを福に転じる』思考法」(講談社)発売中。