北海道や東北を中心に、クマによる被害があとを絶たない。2023年度のクマ類による人身被害は、統計市場過去最多の198件。今年はそれを上回るペースで、被害が増え続けている。
むろん、クマによる被害は日本だけにとどまらず、欧米でも問題になっている。通常「人食いグマ」と呼ばれるのが「ヒグマ」「ハイイログマ」などの種類であり、2メートル超えの大型個体が少なくない。そんな巨大クマに襲われたら、人間などひとたまりもないが、実はカナダにはそれをはるかに超える、3メートル級の化け物が生息しているという。1990年代、カナダのユーコン準州にあるタチュン湖周辺でたびたび目撃され、発砲騒動まで勃発した「ユーコン・ビーバーイーター」だ。
ビーバーイーターは先住民族からは「サイトエチン (Saytoechin)」 と呼ばれ、伝承されてきた生き物、いわゆるUMAである。ユーコン地域では更新世中期から後期にかけ生息していたとみられる、オオナマケモノの一種。現地ではメガロニクス(大型哺乳類)の化石が見つかっているが、
「北米大陸ではメガロニクスのほか、メガテリウムやエレモテリウム、ミロドンといった巨大なナマケモノが生息していたことが明らかになっています。ただ、現代のナマケモノは草食動物ですが、古来に生きたこれらのナマケモノは肉食。ビーバー・イーターもその名が示す通り、ビーバーを主食とした肉食系の一種だとされています」(UMA研究家)
ところがこのビーバー・イーターは、1970年代から80年代には目撃された形跡がなく、90年代初頭になり突如、湖周辺での目撃談が増加した。
「うち数回はボートで釣りをしていた地元住民による目撃談ですが、ボートに向かってきたビーバー・イーターにライフルを発砲した事例があり、その後、巨大ナマケモノは踵を返すようにして向こう岸へと泳ぎ出した。そして水中に姿を消してしまった、との証言があります」(前出・UMA研究家)
そして1990年代を境に再び、ビーバー・イーターの目撃情報はピタリとなくなった。このビーバー・イーターは、絶滅したメガロニクスだったとしても、なぜ90年代に突然現れ、再び姿を消したのか。
ビーバー・イーターは、メガロニクスの生き残りだったのか、あるいは新種なのか。今もタチュン湖周辺には、巨大ナマケモノを求めて、多くの研究者が訪れている。
(ジョン・ドゥ)