3月16日の開催で2024年度の全日程を終了した「ばんえい競馬」(北海道帯広市)。1トン前後ある「ばん馬」が鉄ソリを引き、直線200メートルのセパレートコースに用意された2つの障害を越えて順位を争う独特のレースだ。2006年に廃止の危機を迎えたが、2024年度の馬券販売額は578億2265万8700円。帯広市の単独開催となった2007年度以降、最高額を11年連続で更新する盛況ぶりを見せた。
そんな中、卓越した競走能力で無類の強さを発揮したのが、9歳牡馬のメムロボブサップ(坂本東一厩舎)だ。3月16日に行われた今年度の最強馬決定戦ともいえる「第57回ばんえい記念」(BG1)では、第二障害を越えた残り30メートルでコマサンエースをかわし、2度目の最強馬となった。
「この勝利で獲得賞金が1億135万7500円になりました。これまで1億円ホースは歴代最高額のキンタロー(1986年引退、1億1167万円)やフクイチ(1999年引退、1億1148万円)など7頭いて、2006年に達成したスーパーペガサス(2007年引退、1億73万円)以来、19年ぶりの快挙です」(スポーツ紙記者)
メムロボブサップは2018年5月にデビューすると、翌年度には3歳三冠、さらに4歳三冠に輝くなど、これまで110戦52勝(重賞23勝)。世代最強馬として君臨してきた。
「ばん馬はしっかりとレースマネージメントできる馬体を作り上げるまでに時間がかかると言われますが、この馬は小柄な時から足腰が強く、高重量のハンデを背負ってもお構いなし。2024年度は11戦10勝2着1回と、9歳にしてほぼパーフェクトの成績です。これまで厩舎関係者は『第2のキンタロー』を目標に馬づくりを行っていますが、メムロボブサップが獲得賞金でキンタローを抜くのは時間の問題でしょう」(前出・スポーツ紙記者)
2024年度から「競走馬の定年」が復活したばんえい競馬。9歳のメムロボブサップは11歳を迎える直前の2026年12月まで、残り1年9カ月と時間はたっぷりある。はたしてどこまで獲得賞金を積み上げていくのか、ワクワク感しかない。
(海原牧人)