4月13日に開幕する「大阪・関西万博」をめぐって、衝撃的な危機の実相が浮かび上がってきた。
本サイトが2月19日と26日に公開した記事では、関係者が頭を抱える以下のような実情を伝えた。
●運営主体の日本国際博覧会協会は当初、前売り入場券の販売目標を1400万枚としていたが、これまでに売り捌けた枚数は目標の半分程度にすぎない。
●そこで大阪府の吉村洋文知事らは石破茂総理に泣きつき、「並ばない万博」という当初のスローガンをかなぐり捨てて「当日券」の販売に踏み切った。
ところが、である。ここへ来て入場券の売り上げ状況が黒字ラインすらクリアできない惨状にある、との見通しが浮上してきたのだ。
実は前売り入場券の販売目標とは別に、吉村知事や協会は、開幕から閉幕までを含めた入場券販売のトータル目標について、開催運営費を曲がりなりにも賄うことのできる黒字ラインを「1840万枚」と見積もっていたのである。
しかし3月5日時点における入場券の販売枚数は、1840万枚からはほど遠い「約806万枚」。経済界に割り当てられた700万枚を差し引くと、販売が開始された2023年11月以降、個人が購入した入場券はたった100万枚程度にすぎないのだ。
この偽らざる現状から見えてくる大阪・関西万博の末路は、危機的かつ衝撃的である。
というのも、吉村知事や協会が試算している開催運営費の総額は1160億円。つまり、入場券の売り上げ不振が今後も続けば、赤字総額は予算オーバーの建設費などを除く開催運営費だけでも、数百億円を軽く超える額に達することになるのだ。
吉村知事は3月7日、開催運営費が赤字になった場合には「国と経済界と大阪府・大阪市の三者で協議する」との意向を表明している。要するに、この三者が等しく負担するとなれば、巨大赤字の3分の2は国民の「血税」にツケ回されることになるのだ。
改めて言うが、このオトシマエだけは、キッチリとつけてもらいたい。
(石森巌)