3月8日に阪神2勝クラスを勝ったアムールリーベは4歳の未勝利馬だった。未勝利戦が組まれなくなったのは昨年9月のことで、それ以後、収得賞金0円の馬は格上挑戦を余儀なくされ、出走枠はあくまでも空席待ち。しかも出走手当は半額という扱いを受ける。
それでもJRA在籍にこだわるのは、芝でこそ能力が出せる馬という見立てがあるからだ。地方競馬からの出戻り(3歳のうちなら2勝、4歳になってからなら3勝)の方が早そうだが、ダート適性が低い馬にとっては、実は難関。近年は地方競馬のレベルも上がってきており、JRA再登録がかなわないケースも散見される。
アムールリーベの場合は、ただの格上挑戦ではない。1勝クラスに空席がない状態から苦肉の策として2階級上のレースを選択したもので、この結果が驚きのニュースになるのも無理はない。それでも11頭立ての8番人気。実績馬相手でも秘めた素質を評価するファンもいたのだ。
ちなみに、この勝利で加算される収得賞金は600万円。1勝クラスは500万以下なので、次走の条件は再び2勝クラスということになる。
距離適性を求めての格上挑戦は実は珍しいことではない。例えばサンライズソレイユは、2勝クラスの身でオープンの万葉S2着、3勝クラスの阪神リニューアル記念を3着。ともに3000メートルにこだわったものだった。そして前走、連闘で自己条件の潮来特別(芝2500メートル)に戻って快勝。矢作厩舎らしいイケイケのローテーションだが、まだオープン馬ではなく、阪神大賞典は、またしても格上挑戦。それでも距離経験を評価しないわけにはいかない。
ゴールデンスナップも、昨年、阪神大賞典で5着した当時は3勝クラス。こちらも長い距離にこだわって使われ、前走の万葉S勝ちで正真正銘のオープン馬になった。しかも、その万葉Sが出色の強さ。鍛え抜かれたステイヤーの資質がついに花開いたとみていい。
宝塚記念馬ブローザホーンは、その後が順調さを欠く内容。馬の心房細動はあとに引かないというのが常識だが、この馬の場合は明らかに尾を引いている。
ワープスピードは、昨春の天皇賞で5着した長距離カテゴリーの格上馬。メルボルンカップ2着はハンデにも恵まれたが、帰国後のダイヤモンドS4着は底力を示した内容。ここなら本命視できる。
高松宮記念は、昨年2着のナムラクレアに期待。ルメールを鞍上に迎えた阪神カップがすばらしい切れ味。今年はマッドクールに負けない。