新潟の芝1800メートルでデビューして以来、それより短い距離には見向きもしなかったブレイディヴェーグが、突如マイルCSに参戦してくる。この前週に、昨年現実に優勝しているエリザベス女王杯があり、これが珍しいぐらいに薄いメンバー。訳を探ると、同馬主のレガレイラと、鞍上ルメールを分け合ったのでは?という事情が見えてきてしまう。しかし事態はさらに複雑で、シックスペンスも同じくマイルCSに登録。ルメール騎手はどっちを選択するかが注目されることになった。
言うまでもなく、こうした現象はノーザンファームが強すぎるからこそ起きていること。強者側が戦力を上手に振り分けて、さらに大きな成果を上げようとするのは当然のことで、勝負の世界でそこに文句を言うのは筋違いというもの。競馬がもっと面白くなるには、第2位の社台ファームや、日高の中小の牧場からスターホースの出現を待つしかない。
英国のトップマイラー、チャリンが参戦してきたことで、今年のマイルCSの面白みはグンと増した。まだ4歳で、今年はマイルのGⅠを3勝。2着も2回。勢いのある状態での参戦だけに、日本勢がホームを過信するのは危ない。鞍上もムーアだけに、持ち時計の差を粉砕してしまう可能性は大いにある。
昨年の覇者ナミュールには、クリスチャン・デムーロという大きな味方がついた。条件はベストだけに、久々でも割り引けない。
ソウルラッシュも、マイルにこだわって使ってきて、崩れていない。
セリフォスは種牡馬として早くも期待されている馬だが、そのためにもここは獲りたいタイトルだろう。
マテンロウスカイは、天皇賞・秋が好内容(5着)だったが、鞍上が精いっぱい乗っての入着とも見えた。マイルであれ以上となると難しいのかも。
ここまで有力馬をつぶさに見てきても、ブレイディヴェーグの魅力の大きさに戻ってきてしまう。デビュー以来、6戦中5戦で上がり最速という切れ者。スタートに難があるのは相変わらずだが、ワンターンの京都のマイルは、実は向いていると思う。ルメールも多分こっちに乗ってくると予想して本命に指名したい(編集部注:鞍上はルメール騎手で決まりました)。