新横綱が39年ぶりに途中休場した大相撲春場所は、優勝争いが混沌としてきた。10日目には前頭四枚目の高安が、大関・大の里との1敗対決を寄り切りで制し、ついに単独首位に。高安はここまで1横綱2大関を破っており、一躍、優勝候補の筆頭に躍り出た。悲願の初優勝を手にするためには、終盤戦の戦い方が重要になってくる。
高安はこれまで12勝を7回しているが、13勝以上は一度もない。過去に幾度となく優勝争いを繰り広げてきたものの、10日目以降に崩れるパターンが定着している。これは高安が腰に時限爆弾を抱えているからで、2019年の九州場所では大関角番だったにもかかわらず、腰痛のため8日目から途中休場し、関脇に陥落している。
2022年の九州場所では、2敗の単独トップで千秋楽を迎えたが、3敗の阿炎に敗れて並ばれてしまった。貴景勝を加えた優勝決定巴戦では再び阿炎に敗れ、最大の優勝チャンスを生かすことはできなかった。
高安の優勝を期待する声は日に日に高まっているが、過去の戦歴を見れば分かる通り、まずは「13勝の壁」を越えることが絶対条件だ。言い換えれば、13勝さえできれば、ほぼ優勝…ということに。10日目に優勝候補の大の里を破っていることから、あとは上位陣との戦いをとりこぼさなぬよう…。
問題は通算対戦成績で負け越している、小結・阿炎だ。2022年の巴戦の雪辱を果たすことができれば、歴代2位となる35歳での悲願が、ついに現実になるだろう。
(ケン高田)