アサ芸読者の皆さん、お元気でいらっしゃいますか? 松本明子でございます。中学時代、ブラウン管に映る松田聖子さんに憧れて「私も聖子ちゃんみたいになりたい!」と、15歳の時に故郷・香川県高松市から上京いたしました。おかげさまで今年、芸能生活42周年を迎えます。
幼い頃から歌を歌うのが大好きで、よく父が母と一緒に連れて行ってくれたんですよ、スナックに(笑)。10歳上の兄は受験中だったのでお留守番でしたが、陽気でお酒好きな父は「明子、歌え、歌え」って(笑)。カラオケのマイクを持つと水を得た魚みたいになっちゃう私は、スナックのママさんと一緒に地元ののど自慢大会に出場したり、ローカル番組のちびっこ歌合戦みたいなものに出たり。楽しかったですね。
上京してからは17歳でアイドル歌手としてデビューを果たすも、現実はやはり厳しく、鳴かず飛ばす(涙)。でも、10年ぐらい経った頃、「DAISUKI!」、「進め!電波少年」(ともに日本テレビ系)、「TVチャンピオン」(テレビ東京系)など、ようやくレギュラーのお仕事をいただけるようになったんです。ちょうど、父も定年退職を迎えた時期だったので、両親を高松から呼び寄せ、3人で賃貸アパートで暮らし始めたんです。
その時はまだ両親も、いずれまた実家に帰るだろうという思いがあって、年に2~3回は実家の窓を開けて空気の入れ替えをして、掃除や庭木の手入れなどをしに夫婦で行ってました。あとは何かと浮き沈みの激しい芸能界に生きる私のことを考えて、実家さえ残しておけば何とかなるだろうという親心があったようです。
そもそも父の実家に対する思い入れは相当なものでした。会社員だった父が念願のマイホームを建てたのは、私が6歳の頃。敷地約90坪、総ヒノキ造りの木組みの平屋建てで、5LDKで約3000万円。父はまさに一国一城の主となったのです。
ところが、東京での暮らしが続くうち、両親も年老いてきました。結局、父は私が37歳の時にガンを患って他界する直前、私にこう言い残したのです。「明子、実家は頼むぞ」と‥‥。
兄はすでにマイホームを持っていましたので、この遺言は私に重くのしかかりました。もう責任重大だぞってことで、空き家の維持管理を継続してしまったんです。でも、これがね~、とにかくお金がかかる(苦笑)! 1年で水道代が約1万2000円。電気代は母屋と離れを合わせて約8万円。火事の心配があるのでガスは止めていましたが、そのほか固定資産税が年間約8万円。火災保険(地震保険込み)が年間約10万円。ほかにも庭木の剪定や雑草駆除が年2回で10万円と、維持費だけでなんと年に約37万円です!
それから数年後、母も亡くなり、両親がもうあの実家に戻るということは現実的になくなりました。父に託された実家は徐々に朽ちていき、壁のひび割れや瓦などにも修繕が必要となってきて、思い切ってリフォームをすることにしたんです。台所や洗面所、お風呂やトイレの水回りを全面改修したほか、電気温水器とエアコンを設置して、しめて約350万円也(笑)! 当然、東京と高松の往復交通費だってかかります。それと、いちばん消費を感じたのは体力。40代半ばでしたけど、思いのほかしんどかったですねぇ~。
リフォームはしてみたけれど、それぞれ仕事や何やらで家族で実家に行くということもなく。息子も大学に進学していきますし、漠然と将来が見えてきたんです。
「このまま実家を維持すれば、高松とは縁もゆかりもない息子にまで自分と同じ苦労を背負わせてしまう」
それが、実家じまいを決意するきっかけとなりました。さあ、それからがまあ大変(笑)。売却するにしろ、賃貸にするにしろ、もう少しきれいで使い勝手がいいほうがいいんじゃないかなって思って2度目のリフォーム。浴室のユニットバスへの改修、電気設備の交換などなど、かかった費用は約250万円。前回の分と合わせて約600万円にもなっちゃいました。父から家を託されてから、この時点で総額約1700万円の出費となっていました。
とはいえ、釘を1本も使っていない父の思い入れたっぷりの木組みの家だし、庭木の手入れやリフォームだってお金をかけている家です。せめてリフォーム代だけでもと思って不動産屋さんに査定してもらったら、「築年数が古いので上物の価値はゼロ。土地代だけで200万円」と驚愕の品定め。「更地にすれば買い手はつきやすいんだけど、費用に500万円ほどかかりますね~」って。もうアングリと開いた口がしばらく閉じませんでしたよ(笑)。
その後、香川県が運営する「空き家バンク」に登録したところ、70代のご夫婦がすぐにでも住める空き家を探しているということで、600万円でご購入いただきました。
やれやれと肩の荷が下りたのも束の間、今度は実家にある大量の家財と遺品の処分に追われる日々。ゴミだけで約20トン! 特に困ったのが父の書籍でした。今はもう手に入らない辞典やら世界の文学史などザッと数えても2000冊以上。しかも、エッチな雑誌や書物もありまして(笑)。娘としては「何だかな~」なんて笑っちゃいますが、父の名誉のために言っておきますね。実は父、作家を夢見ていたんです。遺品には一編の小説も残されていました。あっ、エロ本や雑誌は漫画家のみうらじゅんさんがぜ~んぶ引き取ってくださいました~♪
アサ芸読者の皆さんも、空き家の実家をお持ちでしたら、親御さんが元気なうちに実家や遺品の整理についてお話をする機会を作るといいと思いますよ。
松本明子(まつもと・あきこ)1966年、香川県生まれ。1983年に歌手デビュー。「DAISUKI ! 」(日本テレビ系)、「TVチャンピオン」(テレビ東京系)、「進め! 電波少年」(日テレ系)などバラエティー番組で活躍。2022年に著書「実家じまい終わらせました! 大赤字を出した私が専門家とたどり着いた家とお墓のしまい方」(祥伝社)を発売。