4月13日のGⅠ・桜花賞(阪神・芝1600メートル)のひとつ前に組まれていたのは、大阪―ハンブルクカップ(阪神・芝2600メートル)だった。筆者は本サイトがレース前日に公開した展望記事で、このハンデ戦を「桜花賞の資金作りレース」と位置づけ、川田将雅騎乗のヴェローチェエラ(牡4)の単勝を「勝負馬券」に推奨した。
結果は武豊騎乗の1番人気アドマイヤテラ(牡4)が快勝。しかし、である。刻々と変わりゆく当日の「オッズ」と「馬場状態」を臨機応変に見極めることができれば、大阪―ハンブルクCは「満を持して参戦」してきたアドマイヤテラの単勝勝負に作戦変更することで、桜花賞へ向けて軍資金を倍以上に増やせた「勝負レース」だったのである。
筆者は「良馬場」を条件に、同レースはアドマイヤテラとヴェローチェエラの「実質2頭立てレース」とみていた。その場合、問題となるのは単勝オッズで、圧倒的1番人気が見込まれるアドマイヤテラは1倍台、対してヴェローチェエラは3倍台と想定。ならば天皇賞・春(GⅠ)への出走を棚上げにし、名を捨てて実を取る形で勝負をかけてきたヴェローチェエラの単勝が絶好の狙い目なる、と考えたのだ。
ところが当日は午後から次第に雨脚が強まり、芝コースの馬場状態は良から稍重、最終的には「限りなく重馬場に近い稍重」にまで悪化。こうなると道悪実績が未知数のヴェローチェエラよりも、稍重実績があるアドマイヤテラの方が断然有利になってくる。ここが第一の立ち回りポイントだった。
しかも菊花賞以来の休み明けが嫌われたのか、1倍台を見込んでいたアドマイヤテラの単勝最終オッズは2.4倍。対して3倍台を想定していたヴェローチェエラの単勝最終オッズは、2.7倍にまで肉薄した。ここが第二の立ち回りポイントで、このオッズならば雨馬場に恵まれたアドマイヤテラの単勝が、勝負馬券に浮上してくるのだった。
極言すれば、今年の大阪―ハンブルクCは馬場の悪化によって、最終的には「アドマイヤテラの1頭立てレース」となったのである。
ちなみに、6着に敗退したヴェローチェエラは今後、良馬場で行われる芝の中距離戦線で必ず巻き返してくるはずである。
いずれにせよ、刻々と変わりゆくオッズや馬場状態をギリギリまで見極め、臨機応変に立ち回ることが馬券作戦のキモになってくるのである。
(日高次郎/競馬アナリスト)