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【凱旋門賞ナマ観戦記③】騎手の入場・騎乗をスマホ撮影して…日本のパドックとは違う光景が

 凱旋門賞は、今は中東カタールの冠レースだ。正式名称は「QATAR PRIX DE L’ARC DE TRIOMPHE(アルク・ドゥ・トリオンフ)」。「ARC DE TRIOMPHE」は凱旋門のことだ。

 フランスの競馬の賭け式は単勝(Simple Gagnant)、複勝(Simple Place)、馬連(Couple Gagnant)、馬単(Couple Ordre)、ワイド(Couple Place)、3連複(Trio)、3連単(Trio Ordre)、さらに4連単複や5連単複というのもある。慣れていない競馬場で3連単や、まして5連単なんてとても手が出せないが。

 購入したのは、ワイドの5頭ボックスと複勝3頭。競馬専門紙「TURF」「WEEKEND」や、仕事をしている日本の夕刊紙の記事をLINEで送ってもらい、当日までじっくり検討を重ねた。

「TURF」の10月4日の1面は⑭ロサンゼルスの調教師、エイダン・オブライエンだった。さらに6日の1面もオブライエン。つまり⑭ロサンゼルス推しだ。6日の見出しは「4倍強すぎる」だった。ちなみにロサンゼルスはシンエンペラーが3着だった前走、アイリッシュ・チャンピオンSの4着馬だ。

「TURF」の6日の終面では、イギリスの馬⑦ブルースストッキングを取り上げていた。当初は登録がなく、直前になって登録料12万ユーロ(約2000万円)を払って出走してきた。ジョッキーの「ヴェルメイユ賞では何の疑いもなく、世界最高の牝馬に乗っていた」というコメントが載った。

 凱旋門賞のトライアルレースと言われているのはニエル賞、フォワ賞、ヴェルメイユ賞。このうち過去10年で、ニエル賞を勝った馬の連対は1回もない。フォワ賞からは1頭。ヴェルメイユ賞からは3頭が出走し、その1頭が⑦ブルーストッキングだ。最近ではシンエンペラーが走ったアイリッシュ・チャンピオンSの評価が上昇し、連絡みが多くなっているというデータがある。

 馬券は武豊騎乗の④アルリファーと⑦ブルーストッキング、ニエル賞3着の⑨ルックドゥヴェガ、坂井瑠星騎乗の⑩シンエンペラー、そして⑭ロサンゼルス。この5頭以外のよくわからない馬が飛び込んでくる可能性もあるので、ワイドのボックスとした。それから複勝だ。各10ユーロで、馬券代は130ユーロだった。

 実は前日の10月5日、前回も立ち寄った日本料理店「鳥兆」に出かけた。パリの日本料理店は、その多くが中国や韓国などのアジア人が経営するが、ここはオーナーからスタッフまで全員が日本人という、パリでは珍しい店である。寿司もツマミも安心して食べることができる。

 カウンターで日本酒をやりながら、オーナーのカゲヤマさんに好きな数字を聞いてみた。すると2、7、14だという。「ニシチ14ですね」。複勝で買ったのはその3点だった。

 場内のオッズ表示は単勝のみだが、確認すると1番人気はニエル賞1着の⑬ソジ―、2番人気⑨、3番人気⑭、4番人気⑩、5番人気⑦。武豊騎乗④は7番人気だった。我が馬券は本命⑬がコケて、日本馬の⑩か武豊の④が来たら的中しそうである。

 ちなみに、東京から送ってもらった夕刊紙の本紙予想は◎⑬、〇④、▲⑨、△が②③⑦⑧⑭、注⑩だった。

 65ユーロエリア席は、パドックを見ることができた。4R前にパドックのラチ沿いをキープし、5R凱旋門賞ジョッキーの入場、騎乗をスマホで撮影することもできた。⑩シンエンペラーの矢作芳人調教師も目の前を通り過ぎた。

 中には関係者、報道陣が入ることができ、ワサワサしていて日本のパドックの風景とは異なる。武騎手は平常心のような穏やかな表情、坂井騎手はまだ場になじんでいない印象を受けた。

 65ユーロエリアから20ユーロエリアへと移動し、一行5人で16時20分に発走する凱旋門賞を待った。

 ⑩はスタートで飛び出し前段につけたが、そこから下げて⑩も④も中段から後方へ。⑭⑦が逃げ、直線で⑦が力強くかわし、中段からジリジリ追い上げた⑯アヴァンチュールが追い込んで、1・2着はヴェルメイユ賞と同じ悔過に。決着は⑦⑯⑭である。④11着、⑩12着で、日本では「惨敗」という見出しになった。

 ワイド⑦⑭の配当は9.9ユーロ(日本では720円、オッズがかなり異なる)、「鳥兆」カゲヤマ馬券の⑦と⑭の複勝は⑦2.7ユーロ(同200円)、⑭2.9ユーロ(同270円)。4Rの複勝的中と合わせた払い戻しは、166ユーロ(4Rの複勝も的中)だった。

 同行のマダム悦子に20ユーロ、ゆっちゃんと娘、パートナーに10ユーロを渡し、シャンパンで祝杯をあげた。(おわり)

(峯田淳/コラムニスト)

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