11月17日に京都競馬場で行われるGI・マイルチャンピオンシップ(芝・外回り1600メートル)。その前哨戦(トライアル)として行われたGⅡ・富士ステークス(10月19日、東京・芝1600メートル)から鮮やかに浮かび上がってきたのは、「本番」のマイルCSで「消える人気馬」と「巻き返すお宝馬」の存在だった。
富士Sではソウルラッシュ(牡6)とセリフォス(牡5)が人気を二分する中、4番人気のジュンブロッサム(牡5)が4コーナー11番手の位置から上がると、33秒1の末脚を繰り出して快勝。マイルCSへの優先出走権を獲得した。しかし、ジュンブロッサムは本番で消える可能性の高い、要注意馬と言える。
というのも、休み明けの水無月ステークス(3勝クラス、6月8日)を叩き、さらにGⅢ・関屋記念(8月11日)を叩いて臨んだ富士Sは、まさに「狙いすました一戦」。しかも重賞勝ちは今回の富士Sが初めてであり、これでオツリのなくなった同馬にとって、GIのマイルCSはいかにも家賃が高い。ズバリ、そこその人気を集めるマイルCSでは「消し」の一手だろう。
休み明けながら2着と好走したソウルラッシュ(1番人気)にも、同じことが言える。叩き2戦目で臨むマイルCSでも間違いなく人気になるだろうが、同馬の場合、GⅠ成績は昨年のマイルCSの2着と今年の安田記念3着にとどまっており、6歳という馬齢も考え併せると、大きな飛躍は望めそうにない。ある程度の好走は期待できるが、やはり「消し」の一手なのである。
では本番での激走を予感させたはどの馬かといえば…セリフォスだ。今年6月の安田記念以来となる富士Sは、あくまでも本番を見据えての「叩き台」。しかも主戦の川田将雅が落馬負傷したため急遽、藤岡佑介に乗り替わりとなった。その上、道中は掛かり気味で脚をためられず、2番人気ながら見せ場の乏しい4着に終わった。
しかし同馬は一昨年のマイルCSを快勝している素質馬であり、かつ、鞍上が主戦の川田に戻るとなれば、全く話は別である。「中内田充正厩舎(栗東)はトライアルには強いが、本番には弱い」というデータもむしろ、馬券作戦面から言えば「不当に人気を落とす要注意馬」という意味で、絶好の追い風になる。
単勝はもとより、馬単や3連単でも、頭から狙いたい「お宝馬」だ。
(日高次郎/競馬アナリスト)