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洋楽オヤジが歓喜!「ロックスター映画」オールタイムBEST20

 空前の大ヒットとなった「ボヘミアン・ラプソディ」以降、ロックスターを描いた“音楽伝記映画”が盛況だ。バンド結成から圧巻のライブ、そしてドラッグ体験まで‥‥壮絶な人生を映像化した作品を、1000人アンケートでランキング。ロック親父が思わず拳を振り上げるトップ20を発表する!

 伝説的カリスマたちを抑え、圧倒的な得票数を獲得し、堂々のトップに輝いたのは、「ボヘミアン・ラプソディ」だった。「クイーン」のボーカル、フレディ・マーキュリーの栄光と挫折の人生を名曲と共に辿る作品で、世界中で大ヒットを記録した。

「クイーン」の大ファンだと公言する、元メガデスのマーティー・フリードマン氏は興奮を隠しきれない様子で、

「映画が始まる直前に流れる、20世紀フォックスのファンファーレは、クイーンのメンバーが演奏しているのですが、もうその格好よさにシビレました(笑)。映画で使用される楽曲への愛情も感じられるサウンドシステムもすばらしい。1位にはもろ手を挙げて納得です」

 音楽・映画評論家の村尾泰郎氏は、映画作品としてのレベルの高さをこう評価する。

「クイーンの曲の魅力、フレディの波乱に満ちた人生、クライマックスの迫力たっぷりのライブ・エイドの演奏など観どころ聴きどころが満載。映画館の大きなスクリーンと大音響で楽しみたい作品です」

 惜しくも2位となったのが、若き日のボブ・ディランを描いた「名もなき者」。日本でも今年2月に公開されたが、すでに全米ではヒットしており、受賞こそ逃したもののアカデミー賞では8部門にノミネートされた。前出・村尾氏は、ファン必見の作品と高評価する。

「ボブ・ディランに関するネタがたくさん盛り込まれているので、音楽好きは映画を観た後に語りたくなるはず。主演のティモシー・シャラメは、何年もかけて練習して、演奏シーンを吹き替えなしで撮影したことも高評価につながっていると思いますね」

 ハリウッド発の大作が続く中、3位に食い込んだのが、ハンブルク時代の「ビートルズ」を描いたイギリス製作の作品「バック・ビート」だ。ハリウッドの作品と比べ、映像の迫力こそ控え気味だが、音楽ファンからは熱い支持を集めた。

 いい意味で、「ビートルズのイメージが変わった」と語るのは、音楽ツウで知られるお笑いコンビ「ダイノジ」の大谷ノブ彦氏だ。

「バンド初期の良質な楽曲が次々と流れる作品です。アイドル的存在であったりアーティスティックなイメージが先行するビートルズですが、ライブシーンを見ると、改めて『叩き上げのライブバンドなんだ』って思いました。俺たちと同じ肉体労働者なんだと(笑)」

 高く評価される理由について、前出・村尾氏は豪華な製作体制にあると語る。

「劇中でビートルズが演奏する曲は、『ソニック・ユース』のサーストン・ムーアや『ニルヴァーナ』のデイブ・グロールなど、公開当時活躍していたオルタナ・ロックのミュージシャンで結成されたドリーム・バンド。そういう音楽へのこだわりがリアルタイムで観た世代に刺さったのではないでしょうか」

 4位は“キング・オブ・ロック”こと、エルヴィス・プレスリーの生涯を描いた「エルヴィス」。前出・フリードマン氏は、マニアックな選曲に作り手の愛情を感じたという。

「映画のイントロに、エルヴィスの楽曲の中でメインストリームとは言えない『コットンキャンディ・ランド』が流れるんです。こんなマニアックな曲を選ぶだけあって、全編を通じてエルヴィスを愛する気持ちがちりばめられている。時代を超えても、ロックスターであるエルヴィスの魅力を感じられます」

 5位の座を射止めたのは、エリック・クラプトンやスティングなどにも影響を与えたとも言われる、ジミ・ヘンドリックスの「JIMI 栄光への軌跡」となった。

 前出・村尾氏は公開当時の事情を踏まえ、次のように評価する。

「27歳という若さでこの世を去った伝説のギタリスト、ジミ・ヘンドリックスをラッパーのアンドレ3000が演じたことが話題になりました。でも、権利が下りなくてジミヘンの曲が使えなかったり、ジミヘン関係者の評判はイマイチみたいですね」

 次いで、6位にランクインした「ボブ・マーリー ONE LOVE」は、識者の中で賛否が分かれた。特に、独自の“伝記映画観”を持つ前出の大谷氏は、

「品行方正なミュージシャンなんていないと思うんです。普段はダメだけど、ステージに上がればキラキラしてる。そんな人間臭いところがしっかりと描かれている映画が好きなんですが、この作品はボブ・マーリーのいい面ばかりに焦点が当てられていたので、僕の好きなタイプの作品ではなかったですね」

 と、手厳しい意見も。

 反対に、7位にランクインした「ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男」については、手放しの高評価だ。

「肉体系エンタメと呼びたくなるほど濃厚な作品です。JBの暴力もあるし、性格はハチャメチャだし、人間臭くていいんですよ(笑)。それに、演奏シーンの迫力はすごい。これこそ、ソウルの帝王ですよ!」(前出・大谷氏)

 そして、50年代のロックンロールブームの立て役者の1人として知られる、リッチー・ヴァレンスの短すぎる生涯を描いた「ラ★バンバ」は8位にランクイン。音楽監督を、リッチーと同じくメキシコ系アメリカ人のギタリスト、カルロス・サンタナが務めたことが話題となった。

 9位は、60年代に「シェリー」などヒット曲を連発したポップスグループ「フォー・シーズンズ」のデビューから栄光、苦悩までを描いた「ジャージー・ボーイズ」がランクイン。前出・村尾氏は、リアルな内幕劇という出来栄えに高評価を付ける。

「ジャズが好きでピアノ演奏もプロ並みなクリント・イーストウッドが、実在のミュージシャンを描いた作品は『バード』に続いて2作目。チンピラだった男たちが音楽でのし上がっていく姿はラップの世界を思わせたりもして、音楽業界の内幕を生々しく描いているところも観応えあります」

 トップ10に滑り込んだのが、「ビーチボーイズ」のリーダーであるブライアン・ウィルソンの知られざる真実を描いた「ラブ&マーシー」だ。

「天才肌のブライアン・ウィルソン。犬の鳴き声を録音したり消防士の格好をしたり、彼のユニークなレコーディング風景を再現したシーンはファンにはたまらないものがあります」(前出・村尾氏)

 ロック魂を揺さぶる傑作ぞろいのBEST20の全容は下記にてお楽しみいただきたい。

【オヤジ総立ち!1000人アンケート「ロックスター伝記映画」TOP20】

1位「ボヘミアン・ラプソディ」(2018)467票:フレディ・マーキュリー役をラミ・マレックが熱演。チャリティーコンサート「ライブエイド」(85年)での“伝説の21分間”が圧巻。全世界興収1000億円超で現在の音楽伝記映画ブームを先導。人気に火をつけた日本公演はカットされた

2位「名もなき者/A COMPLETEUNKNOWN」(2025)424票:61年、ヒッチハイクでNYに降り立った「フォークの神様」以前のボブ・ディランはたちまちグリニッチ・ヴィレッジを席巻。ロックに転向した65年の「ニューポート事件」が最高潮。主演ティモシー・シャラメが全曲弾き語り

3位「バック・ビート」(1994)389票:デビュー前のビートルズに在籍した5人目のメンバー、スチュアート・サトクリフが主役。ハンブルク修業時代のチャック・ベリー、エディ・コクランなどR&Rカバーが満載。サトクリフの恋人で写真家のアストリッドは当時の姿を記録した

4位「エルヴィス」(2022)354票:黒人居住地で育ったエルヴィスが教会ゴスペルに衝撃を受けて気絶。R&Rが誕生した瞬間だ。ピンクスーツ姿で激しく腰を振る姿に、客席から脱いだパンティが投げ入れられた。悪徳マネージャー役はトム・ハンクス!

5位「JIMI 栄光への軌跡」(2015)289票:唯一無二の天才ギタリスト、ジミ・ヘンドリックスはキース・リチャーズの恋人リンダ・キースにより発掘。ロンドンでライブに飛び入りし、エリック・クラプトンを驚愕させた。遺族から使用を認められずジミの楽曲は皆無なのは残念

6位「ボブ・マーリーONE LOVE」(2024)281票:ジャマイカの国民的英雄ボブ・マーリーの36年の生涯を描く。ラストには敵対する政治家を握手させる伝説的ライブの実写を使用。世界はワンラブと絶叫すべし! こちらは妻リタ、息子ジギーなど一族が全面協力

7位「ジェームス・ブラウン最高の魂を持つ男」(2015)270票:「JBステップ」と呼ばれたステージでの超絶足さばきを再現。袖で見惚れるストーンズメンバーに「アメリカにようこそ」と言い残して去る“Mr.ダイナマイト”に痺れる~。熱演したチャドウィック・ボーズマンは43歳で病死

8位「ラ★バンバ」(1987)249票:3曲のヒットを放つも飛行機事故により17歳で夭逝したリッチー・ヴァレンスが駆け抜けた青春を、ルー・ダイアモンド・フィリップスが好演。主題歌はロス・ロボス。エディ・コクラン役のブライアン・セッツァーが「サマータイム・ブルース」を熱唱

9位「ジャージー・ボーイズ」(2014)246票:「シェリー」など珠玉のヒット曲を持つフォー・シーズンズの実録物語。ポップス史に残るフランキー・ヴァリの高音ファルセットヴォイスも見事に再現。監督は名匠クリント・イーストウッド

10位「ラブ&マーシー終わらないメロディー」(2015)241票:「サーフィンU.S.A」の日当たり良好サウンドとは裏腹に、ビーチボーイズのリーダー、ブライアン・ウィルソンの薬漬けとなったダークな内面が描かれる。ラストの「素敵じゃないか」が泣ける!

11位「Ray/レイ」(2005)232票:南部フロリダからカリフォルニアへ旅立つ場面、「ノルマンディで失明した」とウソをつくレイ・チャールズに白人バス運転手は態度を豹変。ヒット・ザ・ロード!  主演・ジェイミー・フォックスはアカデミー賞主演男優賞に

12位「ロケットマン」(2019)201票:ご存知、イギリスが誇る“ピアノ・ロック”の第一人者であるエルトン・ジョンを演じたのは、「キングスマン」での不良青年役で知名度を上げたタロン・エガートン。両性愛者という難しい役どころを見事に演じ、パワフルなピアノプレイも圧巻の一言

13位「シド・アンド・ナンシー」(1988)195票:「レオン」の悪徳刑事役を好演したゲイリー・オールドマンが、「セックス・ピストルズ」のベーシスト、シド・ヴィシャスを演じた。激しく愛をぶつけ合うシド&ナンシーによるラブ・ストーリーにパンクロックが鳴り響く!

14位「バディ・ホリー・ストーリー」(1978)187票:1950年代のテキサス州。ラジオから独特の裏声でしゃくりあげるような歌が流れた。町中の人々から大非難されたそんなバディ・ホリーの歌は、遠いニューヨークで大当たり。伝説的ミュージシャンの演奏シーンもたっぷり再現した

15位「ウォーク・ザ・ライン君につづく道」(2006)184票:「ジョーカー」役でお馴染みのホアキン・フェニックスがカントリー歌手ジョニーキャッシュになりきり。ジューン・カーターとのデュエットなど全曲を完コピ。ジェームズ・マンゴールド監督はこの作品で高評価を得て「名もなき者」でディランが全面協力

16位「スターダスト」(2021)137票:若き日のデヴィッド・ボウイを演じたのが、俳優であり音楽家でもあるジョニー・フリン。70年代の名作アルバム「ジギー・スターダスト」誕生に至るヒストリーをひもとく。ボウイ本人の意向で劇中には本人の楽曲が使用されていないものの、重厚な物語性で引き込まれる面白さ

17位「リスペクト」(2021)114票:“クイーン・オブ・ソウル”こと、アレサ・フランクリンがアーティストを目指し、社会運動に身を投じていくルーツを解き明かす。アレサ役を演じたのは、「ドリームガールズ」のメンバーを演じたジェニファー・ハドソン。そっくりな見た目だけではなくパワフルな歌声にも舌を巻く

18位「ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ」(2010)102票:ジョン・レノンの若き日を描いた良作。ビートルズの前身バンド「クオリーメン」の初期作である「ザットル・ビー・ザ・デイ」や「イン・スパイト・オブ・オール・ザ・デインジャー」のほか、ジョンが初めて作曲した「ハロー・リトル・ガール」などが劇中歌で使用されている

19位「ブライアン・ジョーンズストーンズから消えた男」(2006)97票:今でも彼こそがストーンズと信じる者は少なくない。「ローリング・ストーンズ」の初代リーダーを務めたブライアン・ジョーンズの人生を描く。当時のロックシーンをむしばんだドラッグに溺れ、27年という短い生涯を閉じるまでを描いた

20位「ウディ・ガスリーわが心のふるさと」(1977)94票:ボブ・ディランがリスペクトしたフォークシンガー、ウディ・ガスリーの自伝を映画化。社会活動に関わり、目先のお金に執着しなかったガスリーの原点を描く。音楽監督は、「理由なき反抗」や「トワイライト・ゾーン」などを担当したレナード・ローゼンマン。アカデミー賞音楽賞を受賞

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