4月27日に行われるGⅡ・読売マイラーズカップ(京都・芝1600メートル)は、GⅠ・安田記念(東京・芝1600メートル)の重要な前哨戦に位置づけられている。
ところが今年は「どんぐりの背比べ」よろしく、出走馬全頭がオール横並びの大混戦模様。正直、どの馬が勝っても不思議ではないメンバー構成だが、このような大混戦レースを読み解くファクターのひとつに「意外性」がある。
そこで気になるのが、昨年のGⅠ・皐月賞(中山・芝2000メートル)以来、ミスタージーティー(牡4)に生涯2度目となるブリンカーを装着させ、「キャリア最短距離」となるマイラーズCへの出走をあえて選択した矢作芳人厩舎の「勝負度合い」である。
馬主から大切な競走馬を預託されている調教師にとって、どのレースで馬を走らせるかの選択は、まさに「腕の見せどころ」。中距離戦線からマイル戦線への路線変更にしても、同馬を最もよく知る矢作調教師が「勝算アリ」と踏んでの決断と考えられるのだ。
とはいえ、陣営の勝負度合いがいかに高かろうとも、おいそれとは勝ち切れないのが現実の競馬である。しかし、このような意外性や勝負度合いが垣間見える出走馬が、少なからぬ激走を演じてきたのもまた事実である。
事実、名伯楽として知られる矢作調教師は、大胆な路線変更で実績を残している。
最も印象的だったのは、2020年に芝のマイル戦線からダートのマイル戦線に殴り込みをかけたモズアスコット(牡6、当時)。注目の結果は、初ダートのGⅢ・根岸ステークス(東京・ダート1400メートル)に続き、GⅠ・フェブラリーステークス(東京・ダート1600メートル)を圧勝して、厩舎関係者の度肝を抜いてみせたのだ。
翻って今回、ミスタージーティーは「矢作マジック」で、どんな「変わり身」を見せてくれるのか。読者諸氏の馬券作戦の一助になれば幸いである。
(日高次郎/競馬アナリスト)