開幕20戦目にしてようやく出た「今季1号」は「自己最遅」となる85打席目の勝ち越し弾。阪神の3連勝を決定づけた大山悠輔の一撃は、昨年の75打席目からさらに10打席を要した。
4月23日のDeNAとの対戦は、延長戦に突入。10回一死の場面で山崎康晃のストレートを捉えると、打球は弾丸ライナーで左翼席最前列に突き刺さった。阪神はアウェーで7連勝となった。
5番を打つ大山の打撃について、スポーツ紙デスクはこう評する。
「前を打つ佐藤輝明に刺激されているのか、バットを振り回している感じで、タイミングが取れていませんでした。パワーという点では佐藤や森下翔太に劣ります。でもライト方向へ低い弾道の打球を放つことができますし、実はシャープな打撃スタイル。そろそろ近本光司のようなアベレージヒッターに変身するべきでは」
昨年は14本塁打。長く中軸に座り、本塁打打者の役目を押しつけられてきたが、大山本人は、
「僕は中距離打者。勝利打点を増やしたい」
と語っている。プロ入り以降、獲得したタイトルは最高出塁率だけだ。
昨年オフのFA交渉で巨人に推定6年総額24億円を提示されるも断りを入れ、推定5年総額17億円の阪神に残留。大山は親しいメディア関係者に、次のように明かしている。
「ホームランにこだわっていたら、狭い東京ドームでやれる巨人にしていた。こだわっていないから、広い甲子園の阪神に残った」
先のスポーツ紙デスクが言う。
「安打狙いの打撃スタイルに変更すれば、イヤなバッターになりますよ」
藤川球児監督が組んだ5番構想で、4番を佐藤に譲った大山。本当に本塁打を捨てることができるのだろうか。
(佐藤実)