低迷するオリオールズ投手陣の中で「最も頼りになる男」と言っていいのが、菅野智之だ。シーズンはまだ始まったばかりだが、ア・リーグ新人王レースで、菅野の名前が大きく扱われるようになった。開幕前はノーマークだったので、各メディアともに菅野報道の遅れを取り戻そうと、巨人時代の活躍やオリオールズ野手陣の「菅野評」を紹介している。
活躍すると「球団からの扱われ方」も変わるようだ。オリオールズの公式SNSでは、菅野が球場入りする写真が紹介された。白いシャツ姿でカメラに目線を送りながら、照れ臭そうに口元を少し上げている。その凛々しい表情に「Hey, TOMO!」「Dandy」などのお褒めの言葉が多く寄せられた。巨人時代にはなかった「アイドル的な扱い」をされているのだ。
先発投手陣の防御率は30球団ワースト。ア・リーグ東地区で最下位に沈んでおり、先発陣が先に失点して主導権を握られたまま負けてきた。菅野は失点が少ないため、先に点を取られてもチームが逆転する可能性が残る。だから地元ファンは応援するようになったのだ。
「アイドルショット」の反響が大きかったのは、そのせいだろう。だが注目度が高まれば、相手チームが攻略法を見つける。過去5試合の登板で計113人の打者と対戦してきたが、奪三振数は9。打ち損じを誘う投球スタイルだが、「配球のパターンが読まれたらアブナイ」の指摘がないわけではない。
「正捕手のアドリー・ラッチマンはチームの看板選手であり、配球に長けています。ウィニングショットの変化球を使い分けるなどして、菅野をリードしていますね」(地元メディア関係者)
巨人時代も捕手・小林誠司と息の合ったところを見せてきた。「アイドル路線」を継続できるかどうかは、パートナー次第のようだ。
(飯山満/スポーツライター)