── そんな過酷な下積み時代を経て、12年8月にリリースされた楽曲のPV(プロモーションビデオ)で、内山は恋人役に抜擢されたのだ。
内山 ライブの演出や振り付けを任されるようになって、お互い意識するようになっていったんです。あゆから「マロのことが好きなんだよね」って言われた時に99%、「ウソだろ?」と思った。でも、あゆが「好きだよ」「一緒にいたいんだよね」って言うんだから、その言葉を素直に信じようと思うようになった。ウソかもしれないけど一緒にいたいって。そんな状況になった時「あゆがオレのことを好きになるわけない」って距離を置こうとするヤツもいたかもしれない。ただオレは違ったんですよ。こっちが心を開いていったら、どんどん急接近していった。オレが単純だったんですよ。
── だが当時、内山には離婚裁判中の妻とは別に、交際中の女性との間にもうけた息子もいた。浜崎との交際を発表するまでは、相当悩んだと言う。
内山 もう毎日が「呼吸困難」。子供がいて結婚したい人がいて、離婚裁判中の女性がいて、あゆがいて。家庭を守るために、あゆの言葉に耳を傾けてはいけない。そういうことを考えると訳がわからなくなったけど、最後は自分の「あゆを好きだ」っていう気持ちを信じようと思ったんです。それで家族を捨て、家を出てあゆのもとに行った。もちろん熱愛が発覚すれば、オレに妻子がいるうえ、子供がいる恋人もいることがスクープされ、絵に描いたような最低なバカ男だって、そんなふうに世間から思われることも覚悟のうえでした。
── かくして12年の11月14日、浜崎は会員制ファンクラブサイトで「マロちゃんとは真剣にお付き合いをしています」と内山との交際を宣言。いったいどんな生活だったのか。
内山 さすがに繁華街のド真ん中だと目立つので、ちょっと外れた路地裏のテラス席のあるおしゃれなレストランでデートしたこともありました。閉店間際のお客がいなくなった頃を狙って行くことが多かったかな。交際中は常に一緒にいたよ。ファーストクラスに乗り、パリとかハワイとかロサンゼルスやバリ島にも行って高いワインも飲ませてもらい、とても楽しかった。
── カメラの前でも、大勢のスタッフを引き連れて移動する姿が目撃されるなど、見た目の「女王様ぶり」がたびたび伝えられる浜崎。さらに内山が語るように、当初の厳しいふるまいの一方、妻子や恋人がいるにもかかわらず、のめり込んでしまう魔性も見せる。同棲中の「夜の営み」に関してもかなりの激しさだったのではないか。その点を聞いてみると、少し間を置き、こう口を開いた。
内山 相手のことはノーコメントですが、オレはちょっと変わったところがあるのかもしれません(笑)。
ただ、オレとあゆは、欠けてる部分が一緒だったと思う。欠けてる部分の埋め合わせ方は違ったけど、空白の部分を満たしたい気持ちは同じだったと。もっとも、そう思わされただけかもしれない。うまいんですよ。本当に男を手玉に取る天才だと思っている。