キンキンの愛称で親しまれた愛川欽也さん(享年80)の死は、芸能界を超えて広く世間を悲しませている。ことに愛川さんの自宅から棺が運び出される際、遺影を抱えて霊柩車に乗り込んだ、妻で女優のうつみ宮土理(71)の憔悴しきった表情は同情を誘った。舞台好きな2人が、俳優やスタッフのために作ったという中目黒キンケロ・シアターで、愛川さんの人間性に触れたという演劇関係者に話を聞いた。
「数年前のこと、キンケロ・シアターで上演予定だった演目が、こちらの事情でドタキャンになってしまった。当然、キャンセル料を支払うつもりでいたのですが、愛川さんは『困ったときはお互いさま』とロハ(無料)にしてくれたんです」
その翌年に無事公演をしたときには、盛況ぶりに「良かったね」と声をかけられたとか。
そんな面倒見の良かった愛川さん、実は女性の面倒見も良かったようで、10年ほど前に主宰の劇団「キンキン塾」に入った女優、任漢香(にん・かんか)と深い関係にあったことが一部で報じられている。うつみも黙認せざるを得なかったというが、深読みすれば憔悴の表情には妻としての長年の苦悩もにじんでいたのかもしれない。