デビュー作が大河ドラマという幸運を射止めた白都真理(56)。清純派の女優でありながら、ハードな映画にも果敢に取り組んだ。そして休業後の今、再び女優業に意欲を見せている。
訪れたのは鎌倉の閑静な住宅街にあるワイン茶屋。上品な洋館の店舗で、白都はオーナーを務めている。
「ここに店を開いて6年がたちます。店の後ろにせせらぎが流れ、この季節には若葉が芽吹き、鎌倉に来て初めて四季を感じますね」
食材の仕入れからワインの選別まで切り盛りするほど本格的なオーナー稼業。いとこに当たる杉田かおるとも距離が近くなり、たびたび会っている。
「かおるちゃんが子役の頃から知っていますけど、私が鎌倉に来てから、いちばんオープンに会っていますね。もともと私が女優に興味を持ったのは、中学生の時にかおるちゃんのドラマ収録を見学させてもらったのがきっかけでしたから」
ミス・ユニバース関東代表を経て、79年に大河ドラマ「草燃える」でデビュー。以降、数々のドラマや映画で人気女優となるが、異彩を放ったのは「人魚伝説」(84年、ATG)だ。
「今でも思い出したくないくらい、つらい撮影でしたね。海女の役なので寒い時期に水中のシーンが続いたり、撮影が長引いて家にも2カ月くらい帰れない。役柄と同様に精神的にも追い込まれました」
白都が演じたヒロイン・みぎわは、原発利権の争いで殺された夫のため、その復讐に立ち上がるという役どころ。水中モリを片手に、血まみれになりながら殺戮を重ねる描写で、ATG作品の中でも傑作として名を残す。
さらに一部で「超ハード!」と評されるほど、一般映画の常識をはるかに超えるベッドシーンもあった。
「まだ24歳でしたから、現場で『やりたくない!』と言えるはずがありません。あまりの過激さに、よくそこまでやったという自負はありますが、今でも、あそこまでやることなかったのでは? と思うシーンもあります」
それでも、公開30年目の昨年には同作がブルーレイ化され、白都もインタビュー映像や上映イベントにゲスト出演。女優として記憶に残る作品であったことは間違いない。
さて、私生活では今なお独身を貫いているが──、
「もちろん、おつきあいした方もいましたが、今は結婚願望があまりないですね。鎌倉に来てからは、ひとりの人としてのつながりを大事にしています」
そして13年、長らくの沈黙を経て、再び「女優」として活動を開始した。
「博品館劇場で主演の舞台をやらせていただいたんです。舞台は18年ぶりで、さらに主演だから出ずっぱりでしょ。デビューの時より緊張しましたね。そんなプレッシャーはあったけど、やっぱりお芝居は天職だと感じました」
舞台に続けて、映画や写真集で見せた妖艶な姿も復活してもらいたい──。