「大阪都構想」をブチ上げてから約5年。ついに5月17日の住民投票で大阪の未来が決まる。そこで決戦直前の橋下徹市長(45)に“勝手に”密着。過熱する現地の様子をお届けしよう!
「大阪市内は大変な戦争状態です。民主主義の国でなかったら、僕は完全に殺されていますね」
5月4日、大阪維新の会の公式ツイッターにアップされた動画で、橋下氏が反対派とのバトルについてこう語りだした。
大阪市を廃止して5つの特別区を設ける大阪都構想。賛成は維新のみで、自民、公明、民主、共産は反対している。さらに市商店会総連盟や府歯科保険医協会も反対を表明する中、橋下氏はどう戦いを繰り広げるのか──。記者はゴールデンウイークの後半戦に“戦地”を訪れた。
JR新大阪駅を降りて市内を散策すると、まず目につくのは反対派だった。
「迷ったら迷わず反対」と書かれた看板を掲げた宣伝カーを走らせ、スピーカーからは、「橋下市長はでたらめ。しっかり反対票を入れましょう」などと批判を展開。その動きはどの地区の大通りでも見られ、その台数の多さに驚かされる。それに負けじと維新の会は、約4億5000万円もの莫大な広告費を使ってテレビCMを活用。公園や商店街では「賛成」とプリントされたオレンジ色のTシャツを着たスタッフの姿をよく見かけた。全国から党所属の国会議員の秘書を招集し、休日返上でビラ配りをさせ、府・市議会議員たちは投票日までに街頭演説1人100回、屋内の説明会50カ所の“ノルマ”が課されているという。
大阪維新の会関係者が話す。
「橋下市長は投票権を持たない市外の人が集まる観光地ではなく、住宅街が多い地域を宣伝カーで回り、松井幹事長は町なかや路地裏まで細かく足を運んでいます」
市内遊説の時には、橋下氏が「キラキラ号」、松井一郎氏は「ギラギラ号」と名づけられた街宣車に乗って移動する。
生野区で松井氏の乗った街宣車を見かけると、ゆっくりとした走行速度で走りながら、通行人に挨拶をしていく。だが、市民の反応はイマイチで、ギラギラ号に向かって中年女性は首を振って嫌悪を隠さず、初老の男性は手をバッテンにする場面が見られた。
「橋下市長の乗った街宣車にツバをかけられたこともあった。住宅街に貼られたポスターを破かれたり、市長の顔写真の目に『反対』のシールを貼られ、警察に連絡したこともあります」(大阪維新の会関係者)
賛成派と反対派の仁義なき攻防は、日ごとに過熱している。