そんな快進撃の裏で、実は絶好調男も頭を抱える事態が起きていた。
さるスポーツ紙、X紙が球団サイドから4月上旬に取材拒否を通告され、中畑監督ら現場が困惑しているのだ。
「試合前後の取材エリア立ち入りが禁じられているため、監督、コーチ、選手らの取材はNG」(球団関係者)
コトの発端はキューバの至宝、ユリエスキ・グリエル(30)の退団騒動だった。当初は開幕前の3月24日に来日予定だったにもかかわらず、期限を過ぎても足のケガを理由に来日せず、診断書提出にも応じない。球団サイドは、「チームの士気に関わる」と、煮え切らないグリエルとの交渉を打ち切り、すぐさま契約解除を通告した。X紙は〈今回の騒動にアキレている首脳陣や選手は多い。戦力を預かる現場を振り回した後味の悪い結末。責任の所在を明確にするべきだ。現場の足を引っ張っては本末転倒〉という厳しい見解を記事にした。そのX紙が続けて「グリエルグッズの半額セール」を報じたのだが、これに球団サイドが敏感に反応。「完全な誤報」と抗議すると同時に、取材拒否を通達したのである。
取材拒否は巨人、阪神というマスメディアが集中する人気球団がやむをえぬ自己防衛手段として時折、発令しているが、DeNAでは大洋時代まで遡っても例はない。中畑監督も周囲に「マスコミは大事にしなければならないのに、困ったものだ」と漏らしているという。
実は取材拒否を通告されたX紙は、中畑監督が評論家時代にお世話になっていた媒体。球団の前経営母体だったTBSとも関係が深い。スポーツライターが声をひそめて明かす。
「取材拒否に関しては、池田純球団社長(39)が大号令を発したと聞いています。グリエルの獲得は、池田社長がわざわざキューバまで足を運んで実現した案件。それを、現場の足を引っ張った、と書くことは強烈なフロント批判です。池田社長はそれにカチンときた。過去にも何度か気に障るような記事がX紙に載った、ということもあるようですが。実は『ロペス(31)とバルディリス(32)が計算できるから、別に問題児のグリエルはいらない。だから来日を期待していなかった』という声は中畑監督をはじめとする現場の本音です。中畑監督がそれを旧知の社に書かせたのではないか、との勘ぐりもあったようなのですが‥‥」
つまり、この異例の取材拒否事件は「マスコミvs球団フロント」という単純な構図ではなく、「中畑監督vs池田社長」の全面代理戦争の様相を秘めているのだ。