実は中畑監督と池田社長が大ゲンカに至る「伏線」は昨オフ、すでに露見していた。中畑監督の続投を巡って、池田社長が「やりたいんでしょう」と冷ややかな発言をしたとされる件だ。これで、ただでさえソリの合わない2人が犬猿の仲になった、と報じられている。
DeNA担当記者が言う。
「池田社長は采配や選手の使い方など、何かと現場に口出しをするので、監督も選手も閉口していました。決定的だったのは、昨オフ、金城龍彦(38)に戦力外通告したことを、中畑監督が知らされていなかったこと。池田社長が独断で決めていたようでした。監督は『フザけんなよ!』と激怒しましたが、球団は金城にコーチ就任を打診していた。現役にこだわりがある金城は『ヨソでやります』とFA宣言し、オファーのあった巨人へ移籍した」
球界OBが苦笑する。
「池田社長は球団買収と同時に立候補する形で社長になった人物。観客動員アップなどのビジネススキームには、すばらしいリーダーシップを発揮していますが、当初言っていた『編成とグラウンド内のことに関しては、高田GMに全面的に任せる』というスタンスを守っていない。独断によるグリエル獲得が最たるものですが、編成も含めた現場への口出しはやみません。若いコーチが増えていますが、それらも全て、池田社長の希望をくみ取った人事です。中畑監督と池田社長の水面下の大ゲンカはチームの火ダネですよ」
今季、中畑監督の采配はやることなすこと、全てが当たっている。新守護神・山崎の活躍はもとより、先発の谷間に二軍でも結果の出ていなかったベテランの三浦大輔(41)を使うと、勝ち投手に。5月10日の巨人戦では、8試合ぶりにスタメン抜擢したルーキー・倉本寿彦(24)が決勝打を叩き出した。中畑監督の評価は急上昇中だが、代理戦争を勃発させたフロントトップは複雑な心境かもしれない。