「錦織圭、悲願のグランドスラム制覇なるか!」そんなキャッチフレーズで日本国内でも日に日に盛り上がってきた全仏オープンだが、錦織のブレイクによって有料チャンネルへの加入者が激増した今大会は、夕方から深夜までテニス観戦三昧の主婦も激増中だとか。ところが、その悪い反動とも言うべきか、こんな落胆の声が聞こえてきてる。
「錦織選手以外の日本男子選手が弱すぎじゃないですか?」「こんなにレベルが違うのかと寂しくなりました」など‥‥。
錦織の1回戦の前後に登場した日本男子選手たち。添田豪が第22シードのコールシュライバー(ドイツ)に6‐1、6‐0、6‐2という、グランドスラム史上日本人最少ゲーム数で惨敗、順当なら錦織とベスト8で対戦することになる第4シードのベルディヒ(チェコ)に挑んだ錦織の後輩・西岡良仁は、第1セットを6‐0で子供扱いされると、残りの2セット(7‐5、6‐3)はベルディヒの練習相手にされただけだった。他に伊藤竜馬、ダニエル太郎も1セットも奪えず敗退している。
「錦織に続く国内ナンバー2と言われる添田が、1ポイント取っただけで会場から同情の拍手を浴びてましたからね。西岡は第2セットだけは善戦に見えましたが、第1セットで完全に相手に力量を測られてしまい、あとはベルディヒが体力温存とショット確認のために1セット1ブレイク戦法に出ただけ。ベルディヒのサービスゲームで西岡がブレイクする気配は0%でした。あれだけの違いを見せつけられると、初めて錦織選手以外の日本人男子選手の試合を視聴した人は『何なんだ、これは?』と思ったでしょうね」(スポーツ専門誌編集者)
錦織景気に沸く日本テニス界だが、実は関係者には焦りがあるという。
「今はテニスブームというより、完全な錦織ブーム。協会は錦織選手が全盛期を迎えるであろうこの3~4年の間にランキング30位前後の男子選手を2、3人は育成しないと‥‥とヤキモキしているようです。ところがなかなか人材がいないのが現状。野球やサッカーなどと違い、国内で強いだけでは全く認知されないのがテニスですから、このままでは錦織選手だけが突然変異で、彼がいない時代が来たらまた氷河期が来るのではと、私たちも心配しています‥‥」(スポーツメーカー宣伝担当)
急激に目の肥えてきた日本人ファンの思いも複雑。せめて、主役の錦織選手には大会終盤までおおいに盛り上げてもらいたいものだが──。