4期17年間にわたって国際サッカー連盟(FIFA)に君臨していたブラッター会長(70)が引責辞任を表明した。本丸“落城”で大激震が走るさなか、早くも「後継者」を巡るバトルが勃発。あのマラドーナ氏(54)も「神の手」をあげて出馬しようとしていた!
6月2日、5選が決まったばかりのブラッター会長が、チューリヒの本部で緊急記者会見を開き、辞任に関する声明を発表した。発端となったのは、その6日前の出来事である。米司法省が1億5000万ドル(約185億円)以上に上る贈収賄などの罪で、FIFA幹部ら計14人を起訴。スイス司法当局が7人を逮捕したのだ。
事件直後は、関与を否定して捜査を歓迎する姿勢を見せたブラッター会長だが、急転直下の「電撃辞任」について外信部記者がこう説明する。
「スイスの検察はブラッターを聴取する方針です。側近の賄賂送金疑惑が浮上したことで、捜査が自分の立件に向かっていることを察して、決断したようです」
次期会長選挙は、12月から来年3月に開かれる予定で、サッカー界のスーパースターが次々と出馬への動きを見せている。
元日本代表監督のジーコ氏(62)は、自身のフェイスブックに、「私はFIFAに立候補することができる」と書き込み、出馬に関心を示した。また、前回直前で立候補を辞退した元ポルトガル代表のフィーゴ氏(42)も改革派の急先鋒として、待望論が高まっている。
そんな中、ベネズエラのマドゥロ大統領は、元アルゼンチン代表のマラドーナ氏を推薦した。
現役時代からFIFAの商業主義を批判し、特にブラッター会長とは犬猿の仲で知られるマラドーナ氏は、汚職発覚後、地元のテレビ局で不敵な笑みを浮かべながらこう話している。
「FIFAは俺のことを頭がおかしいと言ったが、ありがたいことに真実が公になった。逮捕は楽しめた」
さらにフェイスブックにブラッター会長の写真を掲載して、「泥棒野郎」と書き込むなど怪気炎を上げたのだった。
立候補には加盟209協会のうち、5協会の支持を集めるなど、条件をクリアする必要があるのだが、マラドーナ氏に出馬の意思はあるのか。サッカー専門誌記者が語る。
「これまでもポルトガル代表監督や北京五輪の聖火リレーなど、縁もゆかりもなくても立候補したがるので、十分ありうる話です。ただ、聖火ランナーの時は第1走者にもかかわらず、当日、来なかったのですが‥‥」
いまだにトラブルメーカーとして“活躍”する人格面も問題視されそうだ。
「10年南アフリカW杯予選で、アルゼンチン代表監督としてチームを率いた時は、試合後の会見で報道陣に、『お前らマスコミはいつまでもしゃぶってろ! しゃぶり続けろ!』と自らのあの部分を握り締めて絶叫。その大会でチームの敗北を予言したタコが死亡すると、ツイッターに『この予言タコ野郎、おれはお前が死んでうれしいよ。負けたのはお前のせいだ!』と“弔辞”を送りました」(前出・サッカー専門誌記者)
4月11日、コロンビアで開催された平和祈願を目的とした親善試合に出場した際にも、メディアやファンに囲まれると、カメラマンに蹴りを入れ、サインを求めた女性に平手打ちをかましている。
そんなマラドーナ氏が新会長に就任すると、FIFAにどんな改革が起きるのか。サッカージャーナリストの六川亨氏に聞いた。
「“劇薬”として投下するには魅力的ですが‥‥。今回の汚職の中心は南米です。南米には貧困から成り上がってきた成功者が多く、どれだけ大金を手にしても、金にはシビアで、ギブアンドテイクの慣習が残ります。利権を求めて賄賂を渡された時に、マラドーナが払いのけられるのか。下手したらブラッターより始末が悪くなるでしょう」
サッカー界の救世主となる前に、悪名を広めるだけ!?