奥州の雄・仙台62万石の戦国武将として勇名を轟かした伊達政宗は、当時にあっては長寿とも言える72年の人生を全うした。そして生涯メタボとは無縁な健康体を維持していたが、その大きな理由に仙台味噌があったという。
医食同源、健康体の基盤は食にある。戦国時代に来日し、織田信長や豊臣秀吉と会見もしたイエズス会の宣教師ルイス・フロイスは彼の著「日本史」にこう記している。
〈ヨーロッパでは女性が料理を作る。日本では男性が料理することが多い。そして貴人たちは料理を作る事を立派な事だと思っている〉
伊達政宗も例外ではなく、自ら厨房に立ったと記録に残っている。政宗は仙台城築城に際し城内に味噌工場を作り、そこに中国の発酵の技術を持つ職人を呼び良質の味噌造りを命じ、これが今日の仙台味噌の始まりになった。
多くの味噌は大豆を煮て作るのだが、味噌の主成分のイソフラボンは水溶性なので溶けだしてしまう。しかし仙台味噌は洗った大豆を水に漬けたっぷり水を含ませた後、釜で強く蒸して作るのでイソフラボンを大豆に残すことが出来るのだ。このイソフラボン、細胞にダメージを与える活性酸素の働きを抑える抗酸化作用が強い優れもの。食文化史研究家の永山久夫氏はこう言う。
「味噌には味、身、美の三素と脳、病、骨、老、精を鍛える五強がある。名だたる戦国武将はこぞって味噌を愛用していた。長寿の食でもありダイエット効果も抜群です」
海外でも和食によるダイエットがブームになっている。改めて我が国の伝統食を見直してみたいものだ。
(谷川渓)