今週はサマー2000シリーズ第2戦「函館記念」が行われる。荒れる重賞として知られており、近年も4年連続で1番人気馬が馬券圏外。過去にはエリモハリアーが3連覇を成し遂げたように、コース適性も鍵となる。
今週の重賞は、この函館記念のみ。51回目を迎える北の地の名物レースは、ハンデ戦ということで、よく荒れることで知られる。今回も顔ぶれが多彩。見応え満点の白熱した競馬が堪能できそうだ。
よく荒れると書いたが、実際、92年に馬連が導入されてからこれまでの23年間で、万馬券になったのは10回を数える。また02年に馬単が導入され、この13年間で馬単での万馬券は5回飛び出している。まさに一筋縄では収まらない重賞で、穴党のためにあるようなレースと言っていいか。
私事で恐縮だが、こんな思い出がある。93年のこと。函館より札幌開催が先に行われていた時代で、その札幌競馬の後半1カ月を取材したのちに函館へ移動。さらに5週間以上、現地にとどまって取材するという、ハードスケジュールを課せられたのだ。
札幌取材時には馬産地取材も兼ねていたから、函館滞在が残り数えるほどとなった頃には(ネオン街での取材も重なって)出張費はもう底をついていた。
帰りのチケットは確保していたが、どうしても数日分の旅館代(当時は1泊2食付きで、ホテルより安価な温泉旅館がいくつかあった)が払えない。しかたなく気心が知れた他社の友人に借金。払いを済ませて残った万札3枚と1000円札数枚を握りしめ、馬券は函館記念一本にしぼった。
それほどまでに自信があったのだが、私の本命モンタミール(7番人気)はハナ差2着。そして11番人気のゴールデンアイが勝って、馬連配当は1万4750円もの大穴。△◎での的中で、友人記者には数万円のご祝儀付きで返済。懐には五十数万円が納まっていた。
つまらぬエピソードを披露してしまったが、その後も00年のクラフトマンシップ(14番人気)を本命視するなど、どういうわけか函館記念の的中率は高く、力が入るのだ。
今回も期待してほしいと胸を張りたいところだが、いやはや難解だ。顔ぶれから、かなり人気は割れるだろう。なら、まずこれまでを振り返ってみようか。
年齢的には充実ぶりを見せる4歳、5歳がよく連に絡むが、意外や7歳、8歳の高齢馬の善戦が目立つ。そしてせん馬(去勢馬)が活躍しているのも特徴で、ハンデは54~56キロが圧倒的。であるなら、これらのデータをベースに勝ち馬をあぶり出してみようか。
各馬の能力比から、かなりの接戦になると見られるが、それなら人気が落ちたところでデウスウルトに期待を寄せてみたい。
前々走の産経大阪杯は6着。前走、新潟大賞典が13着。しかし敗因がはっきりしている。産経大阪杯は不良馬場で参考外。大賞典も良馬場発表ながら、芝生は傷んでいて、ところどころ剥げてスムーズな走りができないでいた。それでも勝ち馬とはコンマ6秒差。悲観するほどではない。
前走後は、ここ目標に短期放牧を挟んでじっくりと乗り込んできた。先々週、1週前追い切りともに軽快で、しまいも鋭く反応。仕上がりのよさを印象づけていた。なら期待できるというものだ。
7歳馬だが、都合3年の休養があり、心身ともに若い。そして活躍が目立つせん馬。宝塚記念を勝ったラブリーデイをはじめ、トーセンスターダム、ディサイファといった実力派と接戦を演じてもいる。ハンデは恐らく大賞典と同じ55キロだろう。もろもろ走れる条件がそろっているのだ。
母、祖母ともにオープンで活躍。一族にはスマイルトゥモロー(オークス、GIIIフラワーC)がいる良血。まだ重賞勝ち鞍はないが、GIIIぐらいは楽に勝っていい力量馬。良馬場条件に大きく狙ってみたい。
相手の筆頭は、ダービーフィズ。ハンデは前走の目黒記念と同じ54キロのはず。岩田騎手との新コンビで、大勢逆転もあっていい。
◆アサヒ芸能7/14発売(7/23号)より