初回視聴率が9.7%と、なんとも微妙な数字に落ちついたドラマ「エイジハラスメント」(テレビ朝日系)。半年ぶりの連ドラ主演となる武井咲の演技にも注目が集まる中、どうにも時代錯誤な舞台設定に、多くの視聴者は違和感があるようだ。
その象徴と言えるのが、武井が演じるヒロイン吉井英美里の決めゼリフである「テメェ、五寸釘ぶちこむぞ!」。なにしろ武井自身も五寸釘が何なのかを知らなかったほど。インターネットの掲示板にも、「このセリフはどういう意味なのでしょうか?」という質問が投稿されるなど、脚本の意図が読めずに戸惑っている視聴者の様子が伝わってくる。
実は、このドラマは2008年発売の小説を原作としており、原作では30代女性に対する嫉妬やイジメをテーマにしている。そのヒロインは現在なら40代になるわけで、五寸釘という単語を違和感なく受け入れられる世代のはずだ。問題はその設定を平成生まれの武井咲にそのまま当てはめてしまったことではないだろうか。
そのほかにも時代錯誤のポイントは少なくない。ドラマの舞台になっているような大手総合商社では、女性社員の制服は女性差別の象徴としてとっくの昔に撤廃されている。この点については60代の原作者がかつて財閥系企業に勤めていたことから、自身の制服時代に思いをはせている可能性もありそうだ。
また、総務部社員が電球を交換するシーンも指摘したい。この手の作業はいまどき外注業者の仕事になっている。そもそも皇居を望めるような超一等地に建っている総合商社で、素人でも交換できる電球を使っているビルなんてあるのだろうか。
ともあれ、平成の視点で見ると不自然さだらけの「エイジハラスメント」だが、これをあえて昭和の視点で見てみると、意外にハマるのかもしれない。となると2話目以降は、稲森いずみが演じる総務部次長の視点で楽しんでみてはいかがだろうか。そうすれば、「昔はこうだったよなあ」と懐かしい気持ちに浸れること請け合いである。
(金田麻有)