イケメン俳優の窪田正孝と山崎賢人をキャスティングしたことが功を奏したのか、初回視聴率が16.9%と今期最高をマークしたドラマ「デスノート」(日本テレビ)。放送前はなにかと批判にさらされていたものの、キッチリと数字を出して見返した形だ。
このデスノートに迫るのか、それとも惨敗に終わるのかと注目されているのが、7月20日にスタートする「恋仲」(フジテレビ)である。フジテレビの看板である“月9”に初挑戦する福士蒼汰は昨年、ブレイク俳優ランキングで1位に輝くなど大躍進を果たした旬の俳優。その勢いは今年も続いているのだろうか。
その福士と、デスノートでL役を演じる山崎賢人はともに、“壁ドン”で話題になった共通点を持つ。福士は3月公開の映画「ストロボ・エッジ」で壁ドンを公開。片や山崎は、昨年4月公開の映画「L・DK」で壁ドンを披露し、流行語大賞にまで押し上げた“元祖・壁ドン”と言える存在だ。
つまり、この夏の「恋仲」VS「デスノート」という一戦は、“壁ドン俳優対決”という要素もはらんでいるのである。ドラマの主な視聴者がいわゆるF1層(20~34歳の女性)であることから、壁ドンが女性たちを虜にしたように、彼女たちの心をより多く掴んだほうが視聴率も掴める可能性が高い。
そんなオンナ心を考えたとき、「恋仲」には不安要素がある。それは、ヒロイン本田翼の存在だ。「恋仲」のストーリーは、主人公の葵(福士)が初恋相手のあかり(本田)に再会し、恋焦がれるというもの。女性ファンにとってみれば、福士が一人の女性に入れあげるシーンを見たいものかどうか微妙ではないだろうか。しかもその相手が美人モデルの本田ときたら、なおさらである。
それに対して「デスノート」では、ヒロインの弥海砂(佐野ひなこ)は主人公の夜神月(窪田正孝)を崇拝しており、男女の関係が逆になっている。しかも海砂がL(山崎賢人)を好きになる展開もあり得ないので、視聴者は佐野に嫉妬することはなさそうだ。さらに佐野がネットで“ブサブサ”などと批判されているのも、女性視聴者にしてみれば安心材料の一つとさえ言える。
ただ、女性視聴者が「恋仲」のあかり(本田)に自分を投影できれば、福士との疑似恋愛を楽しめるという考え方もありえる。うつろいやすいオンナ心をより掴むのはどっちのドラマになるか。もちろん、2作とも高視聴率をマークして甲乙つかずというのが、テレビ界的には最高のシナリオだろう。
(金田麻有)