フジテレビの月9ドラマ「恋仲」の第1話が7月20日に放送され、9.8%の低視聴率に終わった。月9にとって視聴率ひと桁でのスタートは史上初となり、早くも「ヒロインが本田翼では視聴率が取れない」などと犯人探しが始まっている状態だ。
だが犯人は出演者ではなく、テレビ局側にいるのかもしれない。それもドラマの制作スタッフではなく、第1話の放送日を7月20日の海の日に設定した編成担当者の責任を疑うべきではないだろうか。
海の日連休はいまや、夏休みの始まりを告げる絶好の行楽日和として定着している。今年は台風の合間にハマったことにより、ほぼ全国的に好天に恵まれ、海や山は行楽客でごった返した。そうやって遊び疲れた人たちが、帰宅後に夜9時からテレビドラマを観たりするだろうか?
一方でテレビの世界には、連休の最終日は在宅率が高く、視聴率が期待できるという経験則がある。今回、「恋仲」のスタートを7月20日にもってきたのは、そういう理由があってのことだろう。だが近年は景気の浮上もあって、連休にはレジャーに出かける層が増加傾向にある。それも夏休み最初の連休となればなおさらだ。
そして、梅雨明けが早まった影響も見逃せない。関東と東海、近畿の三大都市圏における平年の梅雨明けは7月21日。ところが今年の梅雨明けは1日早い7月20日となり、「恋仲」の放送日当日はまさに絶好の行楽日和となった。これでは夜のドラマなど観るわけがないのである。
実際、7月19日に放送された「デスノート」(日本テレビ)も第3話目にして、視聴率が8.7%に下落している。これには、翌日の好天に備えてレジャーに出発した家庭が多かった影響も大きいだろう。つまり、海の日連休はテレビ局的には鬼門の3連休だったのである。
もし、「恋仲」のスタートが1週間早い7月13日だったら、視聴率ひと桁という最悪の事態は避けられたかもしれない。たらればを言うのは野暮というものだが、よりによって海の日をスタート日に設定したテレビ局側の見通しは、恋の味よりはるかに甘かったのではないだろうか。
(金田麻有)