美しすぎる市議こと大阪市の伊藤良夏議員が、政務活動費をレクサスの購入に充てていたことで集中砲火を浴びている。すでに全額を自主的に返還しているものの、公費を流用していたことへの道義的責任を問う声は多い。さらには購入したのが高級車のレクサスだったことで、非難の声が高まっているのだ。
ネットには「政務活動にレクサスなんて必要ない」といった声も多く、市民生活に密着した政治活動を行う市会議員が、高級車を買うことへの違和感を抱いている市民が多いようだ。たしかに市会議員や県会議員には、「私の愛車です」とのコメントを添えて自転車の画像をSNSにアップするような、清貧タイプの議員も少なくない。
ただ、地方議員が清貧な仕事かといえば、決してそんなことはない。多くの地方議員は年間1000万円以上の報酬を得ており、大阪市議の年収は約1345万円と立派な高額所得者だ。しかも地方議会には会社経営者や医者といった地元の名士が多く、愛車もかつてはクラウンやセンチュリー、現在はセルシオというケースは当たり前。伊藤議員もまさにこのパターンに当てはまっているのだ。
伊藤議員のプロフィールを見ると、東京でのモデル活動を辞めて帰阪し、社会福祉法人に勤務、そして社会福祉士の資格を取得となっている。これ自体は事実なのだが、実は大事なことがボカしてあるのだ。伊藤議員が務める社会福祉法人とは、叔母が理事長を、そして母親が理事を務める、いわば家業なのである。
つまり彼女は家業を継ぐために戻ったわけで、地元の住吉区では伊藤議員が資産家の娘であることは広く知られているという。それゆえ二十代で青年会議所に加入したのも納得だ。そして現在、伊藤議員は同法人が運営する老人ホームの理事長も務めており、まさに地元の名士なのである。
ちなみに同法人の所有不動産は評価額で10億円を超え、事業規模は年間8億円ほど。このような福祉施設の理事長を務める35歳の女性が500万円のレクサスを買うことに、何の不思議があるのだろうか。むしろ1000万円の高級外車であってもおかしくないかもしれない。
ただ伊藤議員の側に脇の甘さがあったこともまた、否めないだろう。そもそもレクサスの購入費に困るような経済状態ではないのだから、たとえ法的に問題のないリース契約だったとしても、それを政務活動費から支出したのはうかつだったのではないだろうか。
おそらくは、「リースなら政務活動費を使うてもええんやて!」といった、大阪のオバちゃん的なノリだったのかもしれない。だが実家が裕福なのであれば、ここは全額を自腹にしておくべきだったろう。社会福祉法人では役所から受け取る介護保険料などが収入の柱のはず。市会議員としても老人ホーム理事長の立場であっても、伊藤議員には「李下に冠を正さず」という言葉を思い返してもらいたいものだ。
(白根麻子)