「優男」と「直情型」の刑事が繰り広げるアクション・コメディのスタイルで人気が沸騰した「噂の刑事トミーとマツ」( TBS系)。直情型のマツを演じた松崎しげる(62)が、トミーに扮した国広富之(58)との熱い交流と撮影秘話を語り尽くした!
*
当初のタイトル案は「噂の刑事」だけだったんです。でも、僕はアメリカの「スタスキー&ハッチ」「ジョン&パンチ」といったコミカルな刑事ドラマを見て育った。ああいう2人のコンビネーションによるポリスストーリーが大好きだということを脚本家に話したら「それ、おもしろいじゃん」ということで「噂の刑事 トミーとマツ」となったんです。
もう1つ僕のイメージにあったのは、1965年に製作されたアメリカ映画 「グレートレース」。刑事モノじゃないんだけど、ジャック・レモンとトニー・カーティスによるドタバタ喜劇です。ボケ役のジャック・レモンが真っ黒の衣装で真っ黒な車に乗る。ツッコミ役のトニー・カーティスは白の衣装に白の車。真逆な2人が凸凹コンビを組むと、おもしろいんじゃないかと思った。
僕にとっては初の連続ドラマだったから「できるかな」という不安はありました。最初の3話くらいまでは気負いもあって、格好よさを追求する意識もあった。コメディのタッチを自分なりにつかめたのは5話目くらいからかな。
よく覚えているのは、4話目で、当時人気絶頂だった裏番組の「銭形平次」を視聴率で抜いたこと。あれで現場の空気が一気に上昇ムードになりましたね。改編時に各番組の出演者が集まる特番があるでしょう。「銭形」を抜いたことで、あそこでの扱いが放映開始前とは全然違っちゃった(笑)。あれはうれしかったな。
コンビを組んだ国広富之とは、初めはギクシャクしていたんですよ。向こうからすれば、ミュージシャンが演技をできるのかという思いがあったんだろうね。1話目を撮り終わった時
「ちゃんとした芝居ができるんだね」と言いやがった(笑)。もちろん僕だって、「素人が足を引っ張っちゃいけない」「礼儀だけはしっかりしよう」という気持ちで臨んでいた。でも根が体育会系だから、後輩にそんなことを言われたら「うるせー、バカヤロー」って返す。まあ、軽いジャブの応酬ってところだよ。
3話目が終わったあたりかな。国広を僕の家に誘ってみた。殴り合いじゃなくて僕の得意な酒で上下関係をわからせてやろうと思ってね(笑)。作戦は大成功。それ以降は、芝居が終わっても「先輩、先輩」。だからマツとトミーの関係にもリアリティが出てきたよね。
僕の芝居はアドリブが多いんですよ。ミュージシャンの性さがで、その場の雰囲気を大事にしたいからリハーサルと本番ではいつもセリフを変えてしまうんです。
上司役で大先輩の石立鉄男さんには「お前、それは失礼なんだよ。役者ってのは相手に渡す締めのセリフはきちんと決めておくものなんだ」と怒られた。いちおう「ハイ!」って答えておくんだけど、結局直りませんでしたね(笑)。
でも、監督からはアドリブに関するNGは一切なかった。今考えると、破天荒なマツの役を演じるうえではものおじをせず決めごとを破る芝居のしかたは合っていたのかもしれないよね。あれが違う役だったらすぐにクビだったろうね(笑)。最初はワンクールで終わる予定だったのが、3年も続いたのは本当に幸せだったよね。今でも地方局では再放送があるんですよ。地方の仕事で飲みに行くと、ホステスさんに言われるもん。「毎日『トミーとマツ』を見てから出勤してるのよ」って(笑)。夕方の再放送を見てるんだろうね。
今でもコンサートではドラマのエンディングテーマだった「ワンダフルモーメント」のリクエストが多いし、お客さんの反応も凄くいい。「トミーとマツ」は僕にとって代表作であると同時に本当にかけがえのない宝物のような作品ですね。
-
-
人気記事
- 1
- 上原浩治の言う通りだった!「佐々木朗希メジャーではダメ」な大荒れ投球と降板後の態度
- 2
- 【高校野球】全国制覇直後に解任された習志野高校監督の「口の悪さ」/スポーツ界を揺るがせた「あの大問題発言」
- 3
- エスコンフィールドに「駐車場確保が無理すぎる」新たな問題発覚!試合以外のイベントでも恨み節
- 4
- 「子供じゃないんだから」佐々木朗希が米マスコミに叩かれ始めた「温室育ち」のツケ
- 5
- これも「ラヴィット!」効果…TBS田村真子アナ「中日×巨人で始球式」に続く「次に登板するアナウンサー」
- 6
- 日本人に大打撃!タイ政府「外国人締め出し」で長期滞在とビザ取得が困難に…そして口座凍結まで
- 7
- 過剰な期待に「待った」…上原浩治が断言「佐々木朗希は1年間、マイナーで投げる」
- 8
- 「大谷翔平はピストルの弾」「田中将大は石がドーン」ベテラン審判員が目撃した「とんでもない球筋」
- 9
- かたせ梨乃&いとうあさこ「5万円旅」に高橋真麻が感涙復帰で「伝説のボヨンボヨン大揺れ」も復活する
- 10
- ヤクルト・村上宗隆「上半身のコンディション不良」って何?「ポスティング移籍金」に影響するからと…
-
急上昇!話題の記事(アサジョ)
-
働く男のトレンド情報(アサ芸Biz)
-
-
最新号 / アサヒ芸能関連リンク
-
-
厳選!おもしろネタ(アサジョ)
-
最新記事
-
アーカイブ
-
美食と酒の悦楽探究(食楽web)