1月末から日本列島近海で、不気味な現象が起きている。気象庁が1月26日、伊豆諸島の青ヶ島から南南東約65キロにある海底火山「ベヨネース列岩」の噴火警報を発表。海上保安庁による現地上空のヘリからは、火山ガスにより直径約100メートルにわたって黄緑色に変色した海面が確認されているという。
ベヨネース列岩は、複数の岩礁が連なる活火山。今後、海底噴火が起こり、火山ガスや火山灰が高速で広がる危険もあることから、気象庁では警戒を呼びかけている。海洋地質学の研究者が指摘する。
「13年、小笠原諸島・西之島の南南東で海底噴火が発生し新島が誕生した後、17年にもベヨネース列岩の海底火山の活動が活発化しています。小笠原諸島から伊豆諸島、そして富士山までにかけての地下では、火山帯がつながっているとする専門家もいる。つまりベヨネース列岩の異変は、富士山噴火の可能性も孕んでいるといえます」
その富士山でも、とある「兆候」が現れていた。海洋地質学研究者が続けて解説する。
「約300年間も噴火していない富士山ですが、地殻が割れた際に発生する『高周波地震』が、昨年は12月25日までに計82回と安定して多発。地下マグマの活動が起きた際に発生する『深部低周波地震』については昨年が144回と、前年の88回から大幅に増加しています。この増加傾向の始まりは、ちょうどベヨネース列岩が活発化した17年あたりからで、噴火の際にはマグマだまりの上部で低周波地震が起こるとの鉄則を考えても、実に不気味な事態が継続している」
いざ富士山が噴火となれば、静岡・山梨・神奈川で計約80万人が避難対象となり、経済的な被害額は200兆円になるとの指摘もある。巨大地震とともに「いつ起きてもおかしくない」の覚悟を持っておいた方がいいだろう。
(蓮見茂)