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プロ野球新人監督直撃「優勝はウチがもらった」阪神 和田豊監督

 セパ12球団で、4人もの新監督が誕生したプロ野球。老舗球団あり、新規参入組ありと期待も高まっている。そうした中、地味ながらも確実に戦力を整えているのが和田豊監督率いる阪神タイガースだ。持ち前の“理論派野球”で選手のクセを見抜き、長所を伸ばす指導には定評がある。寡黙で知られる和田監督に、今季の秘策をただした─。

星野仙一も一目置く“理論派”
 阪神・宜野座キャンプ。これまでには見られない練習が行われていた。ベテラン・主力を含めて、バントだけの試合形式の練習であった。
 昨年までの阪神は相手チームにとって怖さがないチームであった。走ってくる心配がないので、投手は安心して打者に集中できた。捕手も走られる心配がないので、“ストレート系”のサインを多く出す必要もなかった。
 3割の成功であれば、上出来と言われる打者の世界では、いい投手にかかった時、どう攻略できるかがいちばん重要な課題である。
“打てないなら四球を選んで盗塁。打てないなら四球を選んで盗塁。続いて犠打で三塁に進んで外野の犠牲フライで一点。その虎の子をいかに守るかを考えれば勝てる”とは、野村克也が論じた弱者の兵法である。それを日の当たる午前中、時間をかけ、しかも主力投手に本気で投げさせ、練習をやっていたのが和田豊監督(49)であった。「いい練習をしてますね」と声をかけると、立ち止まって「ヒットを待つよりも脚を絡めたほうが嫌ですから」と答えが返ってきた。相手が嫌がる野球で現状を打破しようという監督の意図がくみ取れる。
 阪神のユニホームを着て28年目。一度もそれを脱いだことのないまま、監督に就任している。チームの主流を成す派閥の入れ代わりが激しいのが阪神の特徴だけに、ユニホームを着続けられるのは並大抵ではない。よほど如才なく立ち回れるか無神経で生き延びるかだが、無神経だけで生きられる甘い世界ではない。「誰の色もついていないから生きてこられたのではないか」(阪神OB)という声もあるが、うるさ型の野村克也や星野仙一も一目置くほどの研究熱心さは、マートン、ブラゼルが試合中に対戦相手のチャートを見ていることでもわかるのだ。
 真弓明信監督の解任後を受けて、次期監督の名前がいろいろあがる中で、内部昇格で和田が監督に就任することになったのは、チーム事情も大きい。球団経営は赤字になり、観客動員も減った。
 自前の球場を持つ阪神だけは大丈夫だろうと思われる中、不況の波は阪神にも押し寄せてきていた。外部招聘では余分な人件費がかさむ。内部昇格という形ならば、その費用は半減する。ドラフトで獲得する以外に余分な補強費を使わない形での内部昇格は、球団にとって都合のいいものであった。そんな中での昇格に和田は明るく応えてキャンプに備えていたのだ。
「FAの権利を持っている選手が、それを行使せずに全員が残ってくれた。昨年まで一緒に戦っていた連中が一つになって目的に向かうという形ができたことが大きい。自分の中には、同じメンバーでもう一度戦いたいという気持ちが強かったことは間違いないからです」
 と言って、臨んだ宜野座に固定してのキャンプだった。監督就任が決まったその日、和田は集まった番記者たちにこう宣言した。
「もちろん、1年目から勝負したい」
 それがどういう形で実行されているのか、それを見定めるためにやって来た宜野座キャンプ。「何をやれば相手が嫌がるか」という構想は、着々と実行されているような気がする。

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