現在につながるハーフタレントの元祖であり、さらに体を張ってバラエティに挑んだアイドルの先駆け的存在でもあったシェリー(57)。彼女は今、どうしている?
──3年前に脳梗塞で入院されていましたが、表情にも会話にもまったく影響はないように見えます。
シェリー うん、リハビリをきちんとやったからね。でも、今でもお薬は欠かせないし、食事も水分もすごく気を遣っているよ。
──ラジオのレギュラーもあるから、しゃべるということは大事ですね。
シェリー そうそう。大阪のFM千里で「シェリーの甘い経験」(毎週金曜13~15時)って番組をやっているから、聴いてね。
──そのタイトルは74年のデビュー曲と同じ! あの当時は歌謡曲アイドルが花盛りでした。
シェリー そうだね、番組の楽屋が学校みたいで楽しかったな。(山口)百恵ちゃんもいたし、アグネス(・チャン)も南沙織ちゃんもいたし。同期デビューの伊藤咲子とは、私が大阪で、咲子が六本木で店をやっていた頃、お客さんをキャッチボールしていたよ。
──デビューした74年には、早くも主演ドラマがオンエアされました。「世界初の立体ドラマ」というフレコミの「オズの魔法使い」(日本テレビ系)です。
シェリー 主題歌のレコードを買うと、赤と青のセロファンがついた立体メガネがついていたね。それをかけると、番組のうち何分間かは立体映像が見えた。
──現在の皇太子殿下である浩宮様が夢中で観ていたと話題になりました。
シェリー そう! それもあって問題になったのが、私がレギュラーになりかけていた「金曜10時! うわさのチャンネル!!」(日本テレビ系)の出演。
──アイドルなのに、浴衣のお尻の部分をめくって「ケツ見ろ!」と叫ぶギャグが印象的。まさか、アイドルにあんな捨て身のギャグをやらせるとは(笑)。
シェリー 同じ局で「うわさ──」が金曜、「オズ──」が土曜のオンエア。浩宮様も好きなドラマのヒロインが、前日にはレギュラー陣の頭を叩きまくっているのはいかがなものか、とスポンサーに言われたんです。それでドラマの半年間が終わるまでは降板して、「オズ──」が終わったらまた「ケツ見ろ!」ってやってたよ(笑)。
──当時の清純アイドルがあられもないギャグを言うことに抵抗はなかった?
シェリー そのギャップがおもしろいんだろうな、と思ってた。というか、まだ新人だから、言われるままにやってたかも(笑)。
──ハーフタレントの元祖的存在ですが、アメリカ人の父親とは会ったことがなかったとか?
シェリー そう、父親は軍人で、羽田の米軍基地に滞在していた時に母と知り合ったの。でも父は兵役を終えて帰国しちゃって、そのあとに母は私を産んだ。その後、再び父は母のもとに戻ってきたんだけど、その頃には母は日本人の男性と子連れ結婚してたから。
──壮絶な親子のエピソードですね。
シェリー 以来、音信不通だったけど、私が40歳の時に、ある番組で探してもらったことがある。残念ながら心筋梗塞で17年前に亡くなっていたと聞かされて、結局、会えずじまいになっちゃった。
──シェリー自身も、不倫の果てに出産という「甘くない経験」がある。
シェリー でも、子供は無事に育ってくれたし、結果オーライでしょ。
──その明るさこそ、元祖バラエティアイドルの真骨頂ですよ!