こうしてキッチリと区分けを行ったあと、球団幹部と本社上層部は今季限りで契約の切れる原監督にシーズン終盤になっても来季続投の要請をしなかった。
「ヤクルトと最後までV争いをしていても、原監督には何の打診もなかった。しかも9月末にはX氏が関係するメディアが『原監督がV逸ならば今季限りで解任される可能性』と公式に広めましたが、たとえ契約更新しなくても任期満了であるにもかかわらず『解任』と流布したことで球団幹部が激怒。周囲の誰もが『球団側から何のアクションも起こされずにイラだっていた原監督の気持ちを代弁し、X氏が動いた』と見ていたので、原監督の立場は逆に悪くなってしまったんです」(球界関係者)
そうした空気を読んだ原監督はV逸が決まると潔くみずから辞す腹を固めた。
その結果、原監督退団という“劇薬”によって巨人は懸案事項だったX氏の現場介入にいちおうの歯止めをかけた格好と言えるだろう。しかしながら、球団内の一部からは「まだ終わってはいない」と不気味な指摘も飛び出している。
「次期監督の要請を受諾した高橋由伸新監督(40)とX氏が実はウラでつながっているという怪情報が漂い始めているんです。かつて、X氏が由伸の公式ホームページ作成に手を貸していた時期があって、その頃までは確かに両者は昵懇の関係だった。その後、2人は何らかの事情がきっかけになってミゾが深まったと聞いていたのですが‥‥。なんと最近になって再び急接近し始めているというんですよ。実際にレギュラーシーズン終盤やCSの最中、X氏が由伸に何度も話しかける姿が多くの関係者に目撃されている。もしX氏から『監督になって困ったら手を貸すから』と言われれば、指揮官として右も左もわからない由伸にとっては渡りに船。海千山千のX氏にとって由伸の“籠絡”など何の造作もないことなのかもしれません」(球団関係者)
新監督に決定した高橋とX氏が仮に“合体”するとなれば、これまで懸命に動いてきた読売本社と球団の努力は水泡に帰す。
それだけではない。高橋監督誕生を目前に控えた巨人には、これとは別に頭の痛い難題も待ち受けているのだ。巨人に所属する福田聡志(32)、笠原将生(24)、松本竜也(22)の3投手が関与した野球賭博問題が、さらに拡大しそうな気配を見せているからである。
「NPBの調査委員会が念入りな調査を行っていますが、まだ賭博に関わった人物が『巨人の主力の中にもいるのではないか』とニラまれているんです。今後もし新たな関与者が巨人から出てくれば、新監督誕生のお祝いムードなど吹っ飛んでしまうだろう」(前出・球団関係者)
賭博問題で揺れ動く今の巨人にはX氏の動向を気にするほどの余裕もないのかもしれない。しかし、そうなれば新監督とX氏の急接近を見過ごすことにつながる危険性も出てくる。まさに激動のオフ──。高橋監督より先に、本社上層部とフロントに難しい舵取りが課せられているようだ。