橋下氏が国政に打って出るとすれば、最も近い時期の国政選挙は、来年7月の参議院議員選挙である。しかし、橋下氏には「行列のできる法律相談所」(日本テレビ系)で共演し、同じ弁護士から政治家に転身した丸山和也参議院議員へのライバル心があると言われる。政治評論家・浅川博忠氏が指摘する。
「橋下さんからしたら丸山さんの上を行きたい。だから衆議院でしょう。今回の選挙で2勝すれば中央政界で橋下さんの権威はかなり上がります。タレント議員となっている丸山氏よりはるかに大きな存在として中央政界に参入することが考えられるでしょう」
来年7月は政治状況しだいで、安倍晋三総理(61)が衆参W選挙に踏み切る可能性がある。
「大差の2勝なら、確実に衆参W選挙に出馬するでしょう」(前出・浅川氏)
この時に「おおさか維新の会」代表として出馬すると見られているようだ。
「参議院では政党代表としてのハクがつかないこともありますが、発言の影響力一つにしても、衆議院と参議院では大きな差があります」(政治部記者)
これまでの迷走に加え、引退宣言を撤回すれば、批判は免れない。多くのリスクを背負ってまで中央政界に執着するその先には、橋下氏の「ギラギラした野望」も見え隠れするという。
「橋下さんは安倍さんと政策的な考え方が合致しているんです。集団的自衛権と引き換えの軽減税率容認など、このところ自民党は公明党に振り回されている。総理は、維新が連立を組めるほど大きくなれば公明党を牽制できる存在になると考えている。そして、自民・公明・維新で参議院でも3分の2を占めることができれば念願の憲法改正も実現できます。安倍さんにとって、橋下さんの存在は非常に大きいでしょう」(前出・浅川氏)
党としては、W選では橋下氏と対立する安倍自民。しかし、総理本人と橋下氏とは6月に3時間も会談を行うほどの昵懇の間柄である。橋下氏は演説でも、総理の政治家としての素質をほめたたえるほどだ。
「今回は来年7月の選挙前に、自分の大阪での求心力を知る絶好の機会です。一生懸命なのは追い込まれている証拠でもあります。せっかく自分の育てた党が、生きるか死ぬかの大一番ですからね」(全国紙記者)
永田町では橋下氏のこんな皮算用も噂されているという。
「来年7月の直前、ギリギリまで決断を粘れば、マスコミは橋下氏を取り上げる。こうして『橋下待望論』を沸かせることも、頭のいい彼は織り込み済みだ」(官邸関係者)
常に世間を振り回してきた「橋下劇場」は、どこまで続くのか。400年の時を経て、再び燃え上がる「大阪冬の陣」から目が離せない。