12月18日18時30分に全世界同時公開など、空前の規模での話題づくりもあって注目のハリウッド超大作「スター・ウォーズ フォースの覚醒」。この日本でも初日18時30分公開分の事前前売りは全国のシネコンで完売するなど、「さすがスター・ウォーズ」と関係者をうならせたが、ついに公開となったここにきて、その興行に暗雲が立ち込めているという。
「事前前売り以外の通常公開分のスケジュールが発表されても、予約が殺到すると思われました。ところが19・20日の予約数だけで比べても、特に地方や郊外では『妖怪ウォッチ エンマ大王と5つの物語だニャン!』に負けているシネコンも多数あります」(映画誌記者)
この記者いわく、「上映回数が多すぎる」というのだ。今回の「スター・ウォーズ」はよくある大作映画の興行形態と違い、興行主の自由ブッキング。つまり「買いたかったら自由にどうぞ」というシステムなのだとか。通常は同地域でシネコンが複数乱立する場合は、ライバルのシネコンが洋画を大々的に公開するなら、うちはアニメで勝負など、各々できるだけ特色を出すのが観客動員争いを勝ち抜く術なのだが‥‥。
「『スター・ウォーズ』を恐れて他の大作が年末公開を回避してしまったために、『自由にどうぞ』と上から目線で言われても、どのシネコンも買わざるを得ません。しかも、これほどの“大物”を買ったら、大々的に公開するしかない。おかげでどのシネコンでも3D、通常字幕版、吹き替え版、場所によっては4DX、IMAXなど朝から晩まで『スター・ウォーズ祭り』にしなければならなくなった。ちなみに都内最大級のシネコンTOHOシネマズ新宿では、19日の土曜日にレイトショーも含め8スクリーンを駆使し52回も上映する。この数字は尋常じゃない。しかし、欧米の熱狂ぶりはわかりませんが、まだ面白いかどうかもわからない『スター・ウォーズ』の新作を観たい日本人がそこまでいるとも思いません。おかげで地方などでは予約がスッカラカンという状態になっている」(エンタメ誌記者)
他を圧倒する特大ヒットが義務付けられた「スター・ウォーズ」だけに、興行的には少しの失敗も許されない状態。映画を批評するネットサイトでは「高慢すぎる」「オワコン」などと早くも嘲笑の的となっているが、確かに言ってしまえば「たかが映画」。正月ぐらいは押し付けより、自分の観たい映画でのんびり楽しみたいというのが観客の素直な気持ちかもしれない。
(藤田まさし)