下馬評では、圧倒的な補強による「パーフェクト打線」で優勝の呼び声高かった巨人。ところが、蓋を開ければ、開幕5試合本塁打ゼロの球団ワーストに。得点圏内の打率も1割台と振るわない。開幕ダッシュどころではない球団の窮地に、優勝を予想した評論家たちは何を思うのか。緊急直撃した――。
「戦前の不安が的中した」
「巨人の単独最下位は、08年4月5日以来、4年ぶり。開幕6試合での3完封負けに至っては、1948年以来、実に64年ぶりで首脳陣も青ざめていますよ」
とスポーツ紙のセ・リーグ担当記者が驚きを隠さないのも無理はない。
横浜DeNAから4番の村田修一(31)を一本釣り。メジャー通算240試合出場を果たした新外国人選手のボウカーを獲得。さらに、ソフトバンクの杉内俊哉(31)まで手中に収めた巨人の大型補強。投打にわたり死角がないと言われていたが、蓋を開ければこの体たらくぶり。
開幕前の順位予想では、大多数の評論家が優勝候補にあげていただけに、巨人に何が起きているのか。開幕前に、「巨人優勝」に太鼓判を押していた評論家に、「大誤算」の理由をあげてもらった。
「名前、実績、年俸を見たら巨人を凌駕するチームは見当たらない。逆を言うと、この戦力で優勝できなかったら困りますよ」
と言うのは野球評論家の江本孟紀氏。しかも、強力な大砲ぞろいの「パーフェクト打線」も、相手チームからしてみれば、さほど怖い打線ではなかったという“弱点”が、早くも露呈してしまったのが不振の原因だというのだ。
「優勝は予想しましたが、その一方で指摘していた、不安が的中ですよ。今年も大補強って言われていたけど、打者で言えば、毎年獲っている外国人選手枠を抜かせば、目ぼしいのは村田くらい。でも、彼も30本塁打以上打ったのはプロ9年間で3年のみ。むしろ、村田のみならず、“野村流”で言えば高橋由伸( 37 )や小笠原道大(38)、坂本勇人(23)あたりも再生しなきゃいけない選手です。そんな状態の選手たちを並べられても、相手チームは怖くないですよ」
現役時代は、巨人の4番も務めたことがある野球評論家の広澤克実氏も「勝ちゲームを落としている」と厳しい見方をする。
「開幕からここまでを見ると、勝ちゲームを確実に勝っているのが中日。負けゲームを拾っているのが阪神。勝ちゲームを落としているのが巨人です。野球には、投、打、総合力などの『目に見える力』と、流れ、勢い、運、不運といった『目に見えない力』があります。開幕前、私はこの『目に見える力』をベースに順位を予想しましたが、今でもこの『目に見える力』は巨人が1番だと思います。しかし、問題なのは『目に見えない力』。今の巨人には、勢いや流れがなく、打線が、文字どおりの線になっていない。『目に見える力』を、『目に見えない力』のマイナス要素が上回っている状況です」
広澤氏は開幕前、1位巨人、2位阪神、3位中日と予想していたのだが‥‥。